第10話
[4/4]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
……此処にいる間?」
「そうだ、お前にはしばらく我の側で働いてもらう」
『 !? 』
再び皆の目が見開かれた。今度は荀ケも混じっている
「お前が『今まで』見てきた男達とこの袁本初が違うことを証明してみせよう、それには我の側で政務に携わるのが一番手っ取り早い、―――お主に、今まで見たことの無い景色を見せてやろうぞ!!」
罵倒したにも関わらず自分の事を高く買ってくれているらしい、これには荀ケも少し気を良くしたものの
(フンッ、そこまで言うなら見せてもらおうじゃない!期待はしないけどね!!)
彼女に根付いた男嫌いの価値観がそれを鈍らせる。
「……では、『短い間』でしょうがお世話になります」
「お前いいかげんに――!?」
口の減らない荀ケに憤怒した猪々子が今にも飛び掛ろうとしたが、袁紹はそれを手で制し
「フハハ構わぬ、『男嫌い』な荀ケを世話するのは確かに『短い間』故な」
まるでその短期間で彼女の男嫌いを払拭させるとでも言う様な発言をした―――
こうして荀ケは一時的に袁家の客将として働くことになったが、その出会いは最悪に近いものであった
………
……
…
「何なのよこの政策は!?」
「フハハハハハ、革新的であろう?」
次の日から袁紹の政務を手伝うことになっていた荀ケは、この地で行われた革新的な政策の数々に目を見開いた。
「革新的すぎるわよ! そのせいで色んな問題が起きてるじゃない!!それに対する対応も遅いし、もっと早く解決していれば結構うまく機能したかもしれないのに……あっ!?」
袁紹が手がけた数々の革新的な政策を、自分が合理的に再構成しうまく機能している場面を想像した所で彼女の意識は現実に帰って来た。
「どうだ荀ケ、お主から見た我の政策は」
「……確かに革新的だと思うわ、でも穴だらけだし合理的な考え方の私とは相性が合わないわ」
「嘘を申せ荀ケ、お主は先ほどまでその政策の穴を自分が効率的に埋める場面を想像したのだろう?」
「……」
「我が革新的な政策を考え、その穴を荀ケの合理的な理論で埋めていく―――どうだ荀ケ、その先に広がる景色はお主にも想像が出来ぬであろう?」
「っ!?」
その言葉に思わず肩を震わせる荀ケ、袁紹の予想通り彼女は一人の文官としてこの政策に携わりたい、自分の理論でどこまで改善出来るか試したい、という欲求にかられていた。
「……うぅ」
いつもなら出てくるであろう罵倒の言葉も鳴りを潜め、彼女の頭はすでに政策の改善案を作り上げ始めていた。
そんな彼女の様子と、自分の読み通りの展開に袁紹は満足そうに笑った。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ