3部分:第三章
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第三章
「魔法使いだったのよね」
「本当によく知ってるな」
「だから。有名じゃない」
やはりこう言って苦笑いを浮かべるイザベラだった。
「このことは」
「そうさ。それでお袋は忍者だった」
「くの一だったのね」
「東の方で修行を積んでな。こっちに戻ってきてな」
忍者はあらゆる職業の中でもとりわけ特殊な職業である。侍と共に東方でしか身に着けることはできない。彼の母はわざわざ村を出て東方で忍者になったのである。
「それで親父と一緒になってな」
「それじゃあ私もよ」
そしてまた言うのだった。
「一緒にね。連れて行って」
「いいのかい?危ないよ」
しかしディアルゴは彼女にこう言われても賛成する顔は見せなかった。
「ヒポグリフは」
「とても強いのよね」
「そうさ」
そうだと言うのだった。実際に。
「それもかなりな。強いよ」
「わかってるわ」
だがイザベラはそれをわかっているというのだった。
「それもね。わかってるわ」
「わかってるのかよ」
「そうよ。それに私だって」
今度は自分から言うイザベラだった。
「ちゃんと修行してきたから。だからね」
「大丈夫っていうんだよな」
「そうよ」
やはりこう答えるのだった。
「最高位の僧侶の魔法だって使えるし」
「えっ、それも?」
「って知らないの?」
「何時の間にそんなに強くなったんだよ」
「貴方が知らない間によ」
こう答えるしかなかった。彼があまりにも何も知らないので。
「ずっと山や森にいて村にはあまりいないでしょ」
「それはそうだけれどさ」
まさにその通りである。実は彼はいつも森や山で魔物や猛獣を相手にしている。だから村にはあまり帰ることはなかった。だから村のことはあまり知らないのである。
「そういうあんただって」
「俺も?」
「ハンターとしてはこの世界で最高だって言われてるでしょ」
「そうだったのか」
「あんたのことなのに何で知らないのよ」
今度はさらに呆れてしまったのだった。
「自分のことでしょ、これは」
「まあそうだけれどさ」
一応はこう返すがそれでも自覚は沸かないままだった。
「とにかく。行くんだよな、一緒に」
「そうよ」
しかしもそのことを変えないイザベラだった。
「だからね。それでいいわよね」
「言っても聞かないよね、やっぱり」
「当たり前よ」
そしてイザベラも居直ってさえきたのだった。
「言い出したら絶対に聞かないわよ」
「やれやれ。それじゃあ」
ディアルゴは彼女のその言葉を聞いて。ふう、と溜息を出してから言うのだった。
「わかったよ」
「いいのね」
「うん、いいよ」
また答えるディアルゴだった。
「全く。昔から言い出したら聞かないんだから」
「エルフの
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