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お高く留まる
お高く留まる
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ち着いてって」
僕は声をかけることしかできない、どうあがいても力じゃ敵いっこない。
「落ち着けるか!こいつに判らせるんだよ」
もがきながら言うハルコ姉。
「おりゃっ!」
「「「うわっ!」」」
吹き飛ばされる僕達、もうだめだ!
「バカか!」
声を挙げたのはおじさんだった。ハルコ姉が止まる。
「その子が悪いのか大人が悪いのか、それぐらいの判断付くんじゃねーか?」
ハルコ姉がゆっくり、ゆっくり手を下す。長年おじさんと一緒にいるけど、こんなおじさん見たことない。
「…すまねぇ」
春姉は小さいながらも謝った。
「で、質問なんだけど」
いつものトーンでユウナに訊く。
「はい」
「どうやってあそこへ?」
「「あ」」
僕とユウイチの声がハモる。
確かにそうだ、何であんなところにいたのだろう。毎日あそこに行く身だから、全く疑問には思えなかった。
「ゴミとしてきたんです」
「「「「はぁ?」」」」
今度は4人の声がハモる。何ですと?
「あそこから外に出るのは、相当厳しいんです。だから、私は適当なゴミ捨て場に向かって、自らをビニール袋に入れ、内側で結び、できるだけ空気を抜いて、酸素ボンベ片手に、ゴミと一緒に来たんです」
なんとたくましいやら…
「でも燃やされちゃう可能性もあったでしょ?」
ユウリの言うとおりだ。何も不燃ごみだけじゃないはずだし…
「そこは分別みてやってますよ」
なるほどね。
「しかしどうしましょう…」
ユウナは考え事を始める。
「どうしたの?」
僕は訊く。
「自然求めてここに来たのですが…どうやらここにはない様子。すると私はどうしたら…」
「壊しちゃえば?
「「「「え?」」」」」
ユウイチの突拍子もない言葉に、全員が驚く。
「だって自然が好きなんでしょ?てことは、あれを壊しちゃえばいいんだよ」
ユウイチは、窓の外を指さして言った。
「はぁ?何バカなこと言ってんだよ?」
ハルコ姉が頭をかきながら言う。
「僕達だけじゃ無理だけどさ、ここにいる全員の力を合わせれば…」
「なるほど、数にものいわせりゃいいのか」
おじさんがぽんと手を打つ。
「んでもよー」
またも頭をかきながらハルコ姉が言う。
「そんなにうまくいくもんかよ」
確かにそうだ。数に物言わせるのはできる、しかしそれは、ここの全員の同意があってこその話だ。それにこんな生活を送っている俺たちがかなうなんて到底…
「彼女という希望の星があるじゃないか」
ユウイチはユウナを指さして言う。指さされたユウナは、きょとんと首をかしげる。
…なるほど、そういうことか。
「よしやってみよう!」
僕とユウイチは顔を見て、頷いた。

「みんなありがとう」
バスケット広場。もともとはバスケットコートだったが、整備が行われず腐敗した
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