六話:ルドガーと骸殻
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感謝の言葉。それを聞いてルドガーはやはりヴィクトルは娘を誰よりも愛していたのだと理解する。だが、だからこそ辛かった。エルにパパは偽物のエルはいらなくて本物のエルが欲しかったのだと誤解されていたことが。エルがどうせ自分は偽物だからいなくなっても構わないと思ってしまったことが辛かった。
「君には感謝している……だが、フェイトの邪魔をさせるわけにはいかない!」
「俺もなのはとユーノのために負けるわけにはいかないんだ!」
ヴィクトルは心からルドガーに感謝しているが、相手の存在が認められない事とフェイトの邪魔を許容するかでは話は別だった。それはそれ、これはこれである。両者は一瞬の静寂の後に共に動き出す。唸りをあげる様に地面を力強く蹴り出し、ヴィクトルに接近するルドガー。それに対して風のように素早く動き、最適なポジションに移るヴィクトル。次の瞬間には両者の双剣がぶつかり合い激しい火花を散らす。
「「はあああっ!」」
雄叫びと共に耳障りな金属音が辺りに響き渡り両者が鍔迫り合いを行っていることを伝える。直後、弾かれたように両者共に後ろに飛び去る。そして同時に双銃に持ち替えて銃声を森中に響かせながら超至近距離での撃ち合いを始める。撃ちだされた銃弾は全て相手の銃弾とぶつかりひしゃげて地面へと落ちて行く。僅かにでも軌道がずれれば自分に当たる可能性があるにも関わらずに二人はまるでそうなるのが当然とばかりに少しも怯むことなく行っていく。
「腕を上げたな!」
「ああ、エルを守り抜かないといけなかったからな!」
「ふん。だが―――十年の差は埋められるかな?」
共にハンマーへと持ち替えてその凄まじい破壊力の攻撃を相手のハンマーにぶつけあっていく。ハンマー同士のぶつかり合いにより、強い衝撃波が辺りに撒き散らされ木々は揺れ、森は騒めいていく。一振り、二振り、三振りとぶつけ合っていくうちに徐々にではあるがヴィクトルが押していく。
ルドガーはぶつかり合う衝撃で痺れて感覚の無くなってくる手に危機感を覚えて、打ち合いを止めて一端引き下がる。一方のヴィクトルはそこを機と捉えたのか再び双剣に持ち替えて地を駆ける獣のように低い姿勢のままルドガーに襲い掛かる。ルドガーもこのままやられるわけにはいかないので双剣に持ち替えてヴィクトルと斬り結ぶ。
「力強さはあるが技術はまだまだだな」
「くっ! こんなに強かったのか?」
「当然だ。“俺”は、お前だぞ」
どこか自嘲するような台詞を吐いたかと思うと剣を振るうスピードを徐々に上げて行くヴィクトル。ルドガーもそれに負けじと剣を振るう速度上げていく。その結果、まるで、剣舞を舞っているかのような様になり。二人の斬り合いは剣がぶつかり合うことで散る火花により暗闇の
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