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キュクロプス
2部分:第二章
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その相手に届く雷を作りそれを彼に手渡した。
 ポセイドンには三叉の鉾だった。それは海に大津波を起こすことができたし鎮めることができた。つまり海を支配する力だった。
 ハーデスには姿を消す兜だった。これを使えば誰にも見つからずに戦うことができた。この三つの武器を手に入れたゼウス達はその優勢を決定的なものにして遂にクロノス達に対して勝利を収めることができた。キュクロプス達の功績であることは言うまでもない。
「全てはそなた達のおかげだ」
 ゼウスは戦いの功労者であるヘカトンケイル達、そしてキュクロプス達を集めそのうえで労いの言葉をかけた。
「そしてだ」
「そして?」
「何でも望みのことを言ってくれ」
 世界を三つに分けゼウスは天を、ポセイドンは海を、ハーデスは冥界を治めることになった。キュクロプス達はそのうちの長兄にあたるゼウスに対して褒章を貰うことにもなったのだった。
「何でもな。言うがいい」
「何でもですか」
「そうだ」
 ゼウスは明るい声でキュクロプス達に告げた。
「欲しいものは何でもいいぞ」
「それでしたら」
 まず名乗り出て来たのはヘカトンケイル達だった。その百の腕と五十の頭を見せつつゼウスの前に控え述べてきたのだ。ゼウスは彼等の前に立っている。雷をその手に持ち。
「クロノス達は捕らえていますね」
「うむ」
 ゼウスはそのヘカトンケイルに対して述べた。
「そうだ。今彼等はタンタロスに幽閉している」
「あのタンタロスにですか」
「それに相応しいと思うが」
 こうヘカトンケイル達に対して問うのだった。その彼等を幽閉していた者達のことを。
「どう思うか」
「いえ、それでは不充分です」
「そう思います」
 しかしヘカトンケイル達はこう言ってゼウスに異を唱えたのだった。
「怨み重なるあの者達」
「どうしてその程度で済まされましょう」
 それぞれ五十の頭の口で銘々に言う。

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