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人になった虎か、虎になった人か
人になった虎か、虎になった人か
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「もしかするとということもある。とりあえず確かめたいのだが」
「わかった。そう言うのなら」
「わし等も行こう」
 こうして彼について数人の村人が隣の村に一緒に向かった。そしてその村の者に問うた。
「朱様か」
「ああ。今どうしている?」
 樵に問われたその村人は素直に答えた。何でも腕を怪我してそれで家に篭っているらしい。
「まさか」
 彼等はそれを聞いて顔を見合わせた。そしてとりあえず話し合うことにした。
「どうする?もし本当に虎だったら」
「洒落ではすまんぞ」
 顔が青くなっていく。危険なものを感じた彼等はすぐに県知事に届け出た。県知事はそれを聞くとすぐに樵のいる村にやって来た。
「話を詳しく聞かせてもらおうか」
 彼は樵に問うてその夜の話を聞いた。そしてそれから彼に語った。
「人が虎になる、または虎が人になるという話は知っておろうな」
「はい」
 彼は答えた。
「それは聞いたことがあります」
「ならば話が早い。そしてな、これは虎が人になるのより人が虎になる方が危険なのじゃ」
「何故でございますか」
「虎は人になり人の心を得る。じゃが人は虎になり虎の心を得るのじゃ」
「それでは都事は」
「そうじゃ。虎じゃ。一体どういう経緯でそうなったかは知らぬが今のあの者は人の姿をしておってもその心は虎そのものなのじゃ」
「では一刻も早く何とかせねば」
「まあ待て」
 だが知事は彼を宥めた。
「お主も虎の怖さは知っていよう」
「はい」
「ことは慎重に運ばなければならん。よいか」
 あらたまって話をはじめた。
「まずは確かめてからじゃ。間違いであってはならんからのう」
「わかりました」
「よいな。では行くぞ」
「はい」
 こうして樵は知事の案内をしてまたその村に入った。やはり朱は家で寝ているとのことだった。
「調べよ」
 知事は側にいる者の一人に言った。そしてそれに従い一人朱の家に入った。やがて彼は青い顔になって帰って来た。
「どうじゃった?」
「間違いありません」
 彼は青い顔をして答えた。
「あそこにいるのは虎です。まごうかたなき虎です」
「そうか」
 彼はそれを聞いて頷いた。
「これで間違いはないな」
「はい」
 周りの者はそれに頷いた。
「では行きますか」
 周りの者は動こうとした。だが知事は彼等を止めた。
「待つがいい」
「何故でございますか?」
「相手は虎だ。危険だ」
「しかし怪我を」
「尚更危険だ」
 知事は忠告するようにして言った。
「手負いの虎というのを知っているな」
「はあ」
「しかし」 
 ここで樵が口を挟んだ。
「相
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