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少年少女の戦極時代・アフター
After4 土を泳ぐ殺人魚 A
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「こ、んなの……! 地獄のパティシエ修業に比べたら〜〜!」

 また咲の足が沈み始める――
 その時、咲の足元に紫の光弾が着弾した。

 サメインベスの手が土中に引っ込んだ。
 咲は城乃内に引っ張り出され、二人して勢いのまま後ろに絡まって倒れた。

『咲ちゃん! 城乃内さん! 無事!?』

 龍玄が公園に駆け込んだ。サメインベスの手だけを、龍玄が的確にブドウ龍砲で撃ったのだ。

「光実くんっ」
「ミッチ、マジGJ!」
『二人とも今の内に変身して。僕が引きつけておくから』

 龍玄がブドウ龍砲を構えつつ、咲たちをガードする位置に立った。

「サンキュー。――咲ちゃん!」
「はい!」

 城乃内たちは二人してドライバーを装着し、それぞれの錠前を開錠してバックルにセットした。

「「変身!!」」
《 カモン  ドラゴンフルーツアームズ  Bomb Voyage 》
《 ソイヤッ  マツボックリアームズ  一撃・イン・ザ・シャドウ 》

 炎を象った鎧と、マツボックリの意匠の甲冑が、それぞれ落ちて、二人を月花と黒影に変身させた。

『なんだよ〜。変身したらつまんねえじゃん』

 ずぷん。月花たちの正面にサメインベスが顔を半分だけ出した。半分だけでも不機嫌なのは伝わった。

 サメインベスの全身が土中から浮き上がった。

『あんた喜ばせずにすむなら、変身してバンバンザイよっ』
『んじゃ変身解いてもらって撮影のやり直しだな。あと俺のお楽しみ邪魔したお前らは後で殺すから』

 サメインベスが、くあっと大口を開けた。口から吐き出されたのは、水の塊。
 放たれた水球を、月花も黒影も龍玄も避けた。
 後ろでは、水球がぶつかった木が折れ、ブランコのチェーンが切れて、きぃきぃと不協和音を上げていた。

『このヤロっ!』

 黒影が影松を揮ってサメインベスに斬りかかった。しかし、サメインベスはざらざらしたヒレを盾に影松の一撃をあっさりガードした。――体表が硬いのだ。
 黒影も察したようで、すぐサメインベスから距離を取った。

『直接攻撃より、エネルギー波とか当てたほうがやれる可能性は高そうだな』

 サメインベスの姿はない。おそらくまた土中に潜った。

 月花、黒影、龍玄は互いに背中合わせになり、おのおのの得物を構え、サメインベスがどこから現れてもいいよう警戒態勢を取った。

『! そこ!』

 龍玄がブドウ龍砲を撃った先では、背ビレを、ここが海であるかのように現して泳ぐサメインベス。
 残念ながらサメインベスが潜ったせいで紫のエネルギー弾は当たらなかった。

(土の中を泳ぐ……土の中を……そうだ!)

『城乃内くん! 光実くん! 高い遊具の上に上がって!』


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