第十五話
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「おはよー。」
「はい、おはよう。」
超常の力を使えるようになったからといって、日常生活がなくなるわけではない。いつもの時間に起きた葵は、眠い目を擦りながら母親に挨拶をした。
(あー、眠い。こういう時は炎のパッチが羨ましくなるな・・・)
エヴォリミット主人公である不知火義一は、炎を生み出し、操るパッチの持ち主であった。だが、どんな能力も工夫次第。彼の力は、炎を生まなくても、直接体温を操ることが出来る。体の熱を下げることにより快眠を、そして体の熱を上昇させることによって、眠気を一気に覚ますことが可能だ。昨日色々あって寝不足な身としては、今一番欲しい能力であったりする。
因みに葵の両親には、彼の変化を伝えていない。当然、海鳴市で起きている事件の全容も知らない。アリサとすずかの家族が知ってしまったのはあくまでイレギュラーであり、彼としても想定していないことだった。前世の記憶を持っていても、葵は今の家族を本当の家族だと思っているので、余計な心配をさせたくなかったのだ。この能天気な家族でも、彼の肉体が人間の領域ではないと知れば悲しむだろう。
さて、トーストにたっぷりとイチゴジャムを塗って食べている葵だが、ふと父親の読んでいる新聞の記事が気になった。ちらりと見えたその見出しに、とても不吉なことが書いてあった気がしたのである。
「ね、ねえその記事、何書いてあるの・・・?」
「これか?すぐそこの海で巨大生物を見たって報告があったらしいぞ。他にも、食い散らかされた何百匹もの魚が打ち上げられてるらしい。で、これは実際に撮られた写真だって話だけど・・・まあネッシーみたいなガセネタだろうな。食い散らかされた魚は気になるけど・・・。最近はこの辺も物騒な事件ばかり起きるな。葵も気をつけろよ。」
後半の話は耳に入っていない。葵の目は、その写真に釘付けである。ひどくボヤけているが、なるほど確かに蛇のような巨大生物が海から頭を出しているように見える。しかし・・・
(デカすぎだろ!縮尺おかしくないか!?)
確かに、原作を見ても『巨大化』とはありきたりな願いである。猫に始まり、鳥も巨大化した。しかし、その大きさには限度があった。今までのはせいぜい家一軒分程度の大きさであったが、この写真が正しければこの生物は『怪獣』だ。
(これが合成写真でイタズラとかならいいけど・・・暴走体なら大変なことになるぞ・・・!誰かイエーガー持ってきてくれ・・・)
質量とはそれだけで驚異だ。海にこんな怪獣がいたら、大型の船でさえ体当たりだけで沈むかもしれないし、万が一上陸できるなら、海鳴市が壊滅するかもしれない。
既に、大量の魚が被害に遭っているというし、被害対象が人に変わらないという確証もない今、呑気に学校に行っている余
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