4部分:第四章
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「水と同じころですな、それは」
「左様。はっきりと映っておったわ」
為朝の顔が険しくなった。
「鬼の如き牛の顔がな。さて」
ウンムシの亡骸を見た。そうしてまた言うのだった。
「退治したこの化け物を弔ってやろうぞ」
「弔うのですか、この化け物を」
「化け物とて粗末にしてはならぬ」
為朝はここでは武士としての顔を見せた。単に武勇に優れた豪傑ではないのであった。
「死すれば弔ってやろう。よいな」
「為朝様がそう仰るのなら」
「それでは」
島の者達も異存はなかった。これでおおよそのことは決まった。
「これで島の漁を脅かす化け物もいなくなった。弔いと共にそれも祝おうぞ」
「左様ですな」
「それは」
島の者達もそれには異論はなかった。そうして為朝の言葉に従う。
彼の言葉に従いウンムシは弔われ漁ができるようになった。人々はそれを祝って祭りをする。これがウンムシ祭りのはじまりである。
この祭りは今でも沖縄の島に残っているという。だがそれをはじめたのが誰であるかは伝わっていない。しかし源為朝が琉球王家の祖になったという伝説は残っている。ウンムシを倒したのは天下無双の豪傑であった彼としても伝説ならば不思議はない。あくまで伝説の中の話に過ぎないとしても。
ウンムシ 完
2007・12・16
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