3部分:第三章
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にじゃ」
「何か」
「杯の酒がなくなってしもうたのじゃ」
彼は笑って女に告げてきた。
「それでじゃ。一杯」
「畏まりました」
「おや」
ここで先程彼に酒を注ごうとした男が妙に感じた。
「確か」
「これ」
しかし為朝は何故か穏やかな笑みを浮かべてその彼に対して言うのであった。
「野暮なことは言うものではないぞ」
「はあ」
彼はこれは為朝の女好きのせいかと思ったが彼は特にそんなことはなかった。武を好むが女に対してはそれ程ではないのはもう島の者達は皆知っていることであった。それについていぶかしむ思ったがここはこれ以上考えるのを止めた。そうして彼が女から酒を受けるのを見るのであった。
「さあ」
為朝はその大きな杯を女の前にぐい、と出した。
「注いでくれ」
「わかりました」
女はそれに従い瓢箪の酒を杯の中に入れる。為朝は何故か注ぐ女ではなく酒を見ている。そうして酒に何かを見た瞬間だった。彼は動いた。
不意に女を突き飛ばした。それで杯が飛ぶ。杯は酒を撒き散らしながら高々と舞う。為朝はそれを眺めることなくすぐに自分の横に置いてあった太刀を手に取った。そうしてそこから稲妻の速さで刀を抜くとそれで突き飛ばされ今起き上がろうとする女の首を一閃したのであった。
首を飛ばされた女の身体はそのまままた倒れ込む。だが首は別であった。宙に浮かび上がりそこで憤怒の顔で為朝を見ていた。そうしてそこから襲い掛かろうとしていた。
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