五十話:束の間の休憩
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ッセー君、僕の頭撫でて欲しいなぁ」
「はあ……わかったよ」
俺はヴァーリの要求をのみ、その煌めく銀髪を撫でる。……別にトロンとした目で俺を見つめてくるこいつが可愛かったからじゃねえからな? 俺はカストカゲみてえにようやく見つかった道連れだからということで贔屓してるだけだ。勘違いすんじゃねえぞ。
「うらやま―――いや、妬ましいわ!」
しまった。イリナがどす黒いオーラを噴き出し始めやがった。これは不味い、下手しなくてもイリナの被害が俺に及びかねねえ。ほら、見てみろ。顔は十人中十人を魅了する様な笑顔なのに左手の薬指につけた雲のボンゴレリングからこれでもかとばかりに純度の高い炎が吹き出てるからな。
……というか、なんであいつは薬指につけてんだよ。そいつは婚約指輪でも何でもなねえんだぞ。俺まで誤解されたらどうしてくれんだよ。婚約指輪ぐらい別のをや―――って、俺は何を考えてんだ!? べ、別にイリナに婚約指輪をやろうなんて考えてもねえからな!
(よっ! ツンデレ系ボス)
(遅かれ早かれそうなるんですから早いとこ結婚して亀甲縛りルートを開拓してください)
「イリナ様、ご主人様は婚約指輪なら後で好きな物を買ってやるからボンゴレリングは別の指にはめろとのことです」
「え!? そ、そっかぁ……えへへ。もう、ダーリンも素直じゃないんだからぁ」
そんなこと考えてねえよ! と叫びたい所だが俺の膝の上には寝ているユニとまどろみ始めたヴァーリがいるために大声が出せない。くそっ、これじゃあ否定できねえじゃねえか。それとエルシャはなんで実体化してるくせに俺の精神世界に居る時と同じように心の呟いたことを読んできやがんだよ!?
(仕様です、ご主人様)
(ここぞとばかりに話しかけてくんじゃねえよ!)
はあ……疲れた。俺はいつまで変態とヤンデレの相手をし続けなくちゃいけねえんだ。しかも、さらに増えていくような予感もするしな……。今、考えても仕方がねえか。来るもんは来るその時に受け止めりゃいい。さてと、俺もこいつらみたいに寝て少しでも胃を休ませるか。そう決めてヴァーリの頭を撫でながら目を閉じる。そういや、こいつとの出会いはどんなもんだったかな……俺はそんなことを考えながら夢の中に落ちて行く。
ボンヤリとした映像が頭の中に流れる。イッセーは、夢だと瞬時に判断するが起きようとは思わない。別に夢を見たからと言って何か害があるわけでもない。それに夢の光景は丁度彼が思いだしたかったものだったからだ。月が綺麗な夜に出会った幼い少年と少女。一方は間違いなく過去の自分だ。我ながら目つきが悪いと思う。もう一方の少女は手入れの行き届いていないぼさぼさに伸ばされた銀色の髪の少女、幼き日のヴァーリだ
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