2部分:第二章
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のと思われるドス黒い血が流れ漂っていたがそれだけであった。他にはもう何も残ってはいなかった。
「これで終わりでしょうか」
「さてな」
為朝は彼等の問いに懐疑的な顔であった。まだ刀を手に持ち海を見下ろしている。海にはまだウンムシの血が漂っている。
「死んでいればよいが。そうでないと」
「来ますか」
「ならばまた相手をしてやる」
為朝は平然としてこう述べた。
「それだけだ。安心せよ」
「そうであればよいのですが」
「何分ウンムシは」
「他の者ならいざ知らずわしは大丈夫じゃ」
彼の自信は変わらない。先程の闘いの勝利もそれに大きく関係していた。
「安心せよ。よいな」
「はあ」
「そこまで仰るのなら」
「では一旦島まで帰ろうぞ」
島の者達に帰るように告げる。
「まずは勝利じゃ。それでよいな」
「はい」
「それでは」
一先闘いは為朝の勝ちであった。彼は船を島に戻させる。しかしウンムシの血はその船についていた。それは赤黒い一条の糸となってつながれていた。まるでそれを辿って追うように。
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