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とあるβテスター、奮闘する
つぐない
とあるβテスター、宣言する
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─どうすればいい?
キリトの苦悩に気付くこともできなかった僕に、一体何ができる……?


「納得は……してくれないでしょうね。下手をすれば、攻略組がPKを容認していると思われてしまう可能性もあります。なので、やはり排除せざるを得ないといったところでしょうか……」
「そんなイメージをもたれては、攻略にも支障をきたすからな。妥当な判断だろう」
オリヴィエの口ぶりから、《ユニオン》の代表であるディアベル個人は、《黒の剣士》の排除にさほど積極的ではないことが伺える。
問題をあくまで話し合いで解決しようとする姿勢は、第1層攻略の時と何も変わっていないようだった。
そんなディアベルが代表を務めているからこそ、《ユニオン》はたった一年足らずでアインクラッド最大規模を誇るギルドに成長したのだろう。

……でも。組織というものは規模が大きくなればなるほど、一枚岩というわけにはいかなくなってくる。
ディアベルが話し合いで解決することを望んでも、ギルドを構成している大多数のメンバーが《黒の剣士》の排除を望めば、組織の方針としては後者を選ばざるを得ないだろう。
《アインクラッド騎士同盟》と《ギルドMTD》が合併して《アインクラッド解放同盟》へと名称を改めた際、彼らは一般プレイヤーたちに向けて『街の治安維持を最優先とする』との誓約を立てている。
治安維持。つまりは、街に住む住人の不安を取り除くということだ。
その義務が課せられている以上、《ユニオン》の取れる選択肢は『排除』の一択となってしまう。ここでキリトを排除しなければ、それは一般プレイヤーたちからの信頼を裏切ることとなり、ギルドの体制そのものが崩壊してしまうからだ。

それでなくとも、近頃の《ユニオン》には、色々ときな臭い噂が立っている。
幹部クラスのプレイヤーを筆頭に起こっている内部抗争。
同じく幹部同士による、ギルド内での権力争い。
組織の方針に異を唱えている幹部たちを中心に、新たなギルドを設立する流れが出来上がっている───等。
現在の《ユニオン》を取り巻く噂の数々は、御世辞にも穏やかとは言えないものばかりだった。

とはいえ、所詮噂は噂だ。人づてに聞いた話に尾鰭が付くのはよくあることだし、特にネットゲームにおけるトップギルドなんてものは、あることないこと好き勝手に言われるのが当たり前となってしまっている。
《ユニオン》の内部分裂に関する噂もそんな例に漏れず、どうせ眉唾物だろう───と、最初は誰もがそう思っていた。

けれど、こうして《ユニオン》の幹部たちと顔を合わせる機会の多い僕たちは、それが紛れもない事実なのだということを知っている。
やむを得ず排除を提案しているといった様子のオリヴィエとは異なり、他の《ユニオン》幹部───リンド、シヴァタ、ヤマタといった古参プレイヤ
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