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とあるβテスター、奮闘する
つぐない
とあるβテスター、宣言する
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えど当初の目的は達成することができた。
彼自身も妨害を行っていたことを認め、さすがに他のプレイヤーたちの前でというわけにはいかなかったものの、後にキリトに謝罪している。

それからのボス攻略戦は、ラストアタックは誰が取ろうと恨みっこなしということで、ボスにとどめを刺したプレイヤーを詮索することは禁止事項となった。
ボーナスアイテムを取得したプレイヤーからの自主報告もする必要はないとされ、こうしてボスのラストアタックボーナスについては丸く収まった───と、思われたのだけれど。
いつの頃からか、一部の古参メンバーたちがレアアイテムに対する執着を見せるようになった。

最初にその傾向が表れたのは、長らく続いた雨季がようやく終わりの兆しを見せ始めた頃のボス攻略戦だった。
ボスHPの大半が削られ、戦いが終わる寸前。リンドの率いる隊がセオリーを無視して強引に前へ割り込み、露骨なラストアタック狙いのプレイをしたことがあった。
従来のMMORPGであれば、それも立派なプレイスタイルの一つだっただろう。だけど、自分の命が懸かっている状況でそんな行動に出るなんて、いくら何でも滅茶苦茶だ。
レイドの総指揮を執っていたディアベルにとっても予想外だったらしく、まるで第1層での自身の行動を焼き増したかのような光景に、終始顔を顰めていた。
彼らの身勝手な行動はディアベルから厳重注意され、以後のボス攻略では協調性を第一に考えるように諭されていた。

彼らの黒い噂を耳にするようになったのは、その頃からだっただろうか。
曰く、《ユニオン》の古参メンバーの中には、レアアイテムのためなら一時的なオレンジ化も辞さない者達がいる───と。
その噂が直接の切っ掛けとなったかは定かではない。けれど、結成当初こそ一般プレイヤーの救世主として称えられていた《ユニオン》は、雨季の終わりを境に徐々に評価を落としていった。

そんな住人たちからの評判もリンドら一部の古参プレイヤーにとっては納得のいかないものであったらしく、時をほぼ同じくして結成された《血盟騎士団》が最強ギルド候補として台頭し、何かと不穏な噂の付き纏う《ユニオン》を見限った一部のプレイヤーたちが彼らを支持するようになると、それに対抗心を燃やしたリンドたちのやり方はますます過激なものとなっていった。
そうして彼らは、今では目的のためなら手段を選ばない人間として、一般プレイヤーたちの間にも名が知れ渡るまでに至った。

今回の《黒の剣士》に関する騒動にしても、ディアベルやオリヴィエが説得による制止を試みている一方、リンドたち4人を中心とした一派は実力行使による排除───《ユニオン》の権限を用いた投獄、もしくは攻略組からの追放を強く提案した。
そこにはかねてから敵対視していた元βテスターであり、攻略においても常に自分
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