つぐない
とあるβテスター、宣言する
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ーたちは好戦的な姿勢を隠そうともしない。
彼らの言動にキリトへ向けたものとは別の苛立ちが混ざっているのは、第三者である僕でも十分に感じ取ることができるほどだ。
ディアベルやオリヴィエが物事を穏便に解決しようとするのに対し、リンドたちは目的のためなら手段を選ばないタイプだ。彼らにとってはこんな話し合いなど何の意味もなく、それこそ時間の無駄だとでも思っているのだろう。
それに、何より───噂の《ユニオン》内部分裂の筆頭であるとされているのが、このリンドという男だ。
リンド、シヴァタ、ヤマタ。それからハフナーという名前の古参プレイヤーを入れて4人。
彼らはあのキバオウと同様、第1層のボス攻略戦でディアベルに近い立ち位置にいたプレイヤーたちだ。
中でもリンドはディアベル率いるC隊のメンバーで、ボスを倒した後、キバオウと共に元βテスターを糾弾した一人だった。
つまり───僕がディアベルら攻略組から離反するきっかけを作った男でもある。
『オレ……オレ知ってる!こいつらは元ベータテスターだ!だからボスの攻撃パターンとか、うまいクエとか狩場とか、全部知ってるんだ!知ってて隠してるんだ!!』
『オレは知ってるんだぞ!おまえ、ベータじゃ《投刃》とか呼ばれてた仲間殺しで、PKだったんだろ!!』
『どうせベータテスター同士でつるんで、自分達だけいい思いをしようと思ってたんだろ!おまえら全員、グルだったんだろ!!』
第1層で彼に言われた言葉が脳裏に蘇り、思わず顔を顰めてしまう。
正直なところ、少しも恨んでいないと言えば嘘になるけれど、あれほど彼が激昂したのは、裏を返せばそれだけディアベルを慕っていたということだろう。
少なくとも僕はそう思っていたし、実際、リンドたちはいつもディアベルと行動を共にしていて、後にディアベルが立ち上げたギルド《アインクラッド騎士同盟》の初期メンバーとして活躍してきた。
他のプレイヤーのために戦うというディアベルの騎士道精神にも似た信念に、彼らも大いに影響を受けていた───はずだったのだけれど、近頃の彼らとディアベルとの間には、決定的な価値観の違いが存在しているように思える。
代表的な例を挙げるとするなら、ボス攻略の際のラストアタックだろうか。
第1層のボス戦で勇み足を踏んだディアベルは、以降はラストアタックボーナスに拘ることはしなかった。
元々彼はユニークアイテムに執着があったわけではない。自分と同じ元βテスターであるキリトを妨害してまでラストアタックを奪おうとしたのは、集団の先頭に立つ自分がユニークアイテムを手にすることで、攻略組のプレイヤーたちを鼓舞するという目的からだった。
その後一悶着あって、彼が想定していた結果からは外れてしまったものの、何とか一人の死者も出さずに第1層を突破できたことで、形は違
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