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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
一生勝てねえ
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・黒ウサギと、交わした約束。何のことだったか。
いや、悩むまでもねえ。名と旗印を取り戻してやる、って。あの星空に俺たちの旗印を飾ろう、って。目指すは箱庭一、って。そんな約束を、あいつとしたんだ。
どうせ、もう一つは一輝にとられてんだ。残りをどうしようと、大差

本当に、そうか?本当に、それでいいのか?それだけは・・・譲って、いいのか?

「・・・ハッ、何だよ・・・未練がましすぎるだろ、俺」

約束を果たせなかった。そんな醜態をさらしておきながら、どうやらまだ諦める気がないらしい。けど・・・ああ、体が動く。立ち上がれる。
全身を包む痛みを無視して、まず上半身を起こす。そのまま手をついて、立ち上がる。
ひざは笑ってるし、今にも倒れそうだが・・・確かに、立てたな。階段を見上げると、もうこっちに背を向けている一輝がいた。

「待て、よ・・・」
「ん?」

億劫そうに首だけひねってこっちを見た一輝の表情は、つまらなさそうだったが・・・すぐに、変わった。笑みを浮かべてやがる。

「ふぅん・・・なんか見えたのか?十六夜」
「ああ、そうだな。見えたよ見えた。ってか、オマエ気付いてて最後にあれ持ってきやがっただろ?」
「さて、何のことだろうな」

ああ、気に入らねえ。こいつは間違いなく、勘なのかもしれねえが、確信があって約束(あれ)を最後に持ってきやがった。だが・・・ここは、乗せさせてもらうか。
もはや悔しさすら感じられないが、それでも体を動かして階段を上る。

「それなら、聞かせてもらおうか」

おう、何でも聞きやがれ。そう言い返そうとしたが、口が動かない。まあ、下手に動かしたせいでこっちの気持ちを答えられないんじゃ意味ねえし、別にいいか。

「さあ、お前は今後どうしたいんだ?・・・答えろ、逆廻十六夜!」
「んなもん知るかよ!」

お、ちゃんと口が動いた。ついでに、階段を上る勢いも増していく。

「ああ、そんなもん知るかよ!もうごちゃごちゃして、俺がこれまで持ってたもんも全部ぶっ壊されて、明確な答えはわかんねえよ!」

腕で涙を拭って、鼻水も、鼻血も、ついでに今更気づいた口の端の血も拭って、動くのに邪魔だから上着を脱ぎ捨てる。

「けどな、アイツに約束したのは・・・黒ウサギと約束したのは、俺だ!」

これを言霊っていうのかは知らねえが、体中に力が満ちてきた。階段を、駆け上がる。

「確かに一つはお前にとられて、果たせなくなった!けどな、だからって残りまでくれてやる気はねえ!」

右手の拳を握りしめて、血が滲んでもさらに強く握りしめて、階段を上りきる。

「何より、好きなやつと交わした約束を守れないだけじゃなく、守ろうともできねえとか、そんな情けねえマネができるかよ!」

少し驚い
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