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幸せは消えて
3部分:第三章
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「洒落になりませんね」
「うん。かなり慎重にいかないとまずいね」
 若者はこのことを肌身で感じ取っていた。
「さもないとね」
「あっ、あそこ」
「見て下さいよ」
 ここで烏達が右手を指し示して言う。見れば兵士達が青い星を胸に着けた一人の若い男を引き立てているところであった。
「さあ来い」
「スパイめ、捕まえたぞ」
「私はスパイじゃありません」
 見れば如何にも善良そうな男だった。身なりは軽やかで琴を持っている。どうやら旅の吟遊詩人らしい。

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