成長編 素材
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、という気持ちもあるが……真実から耳を塞ぐ者や、自分の眼でしか物事を見ようとしない者もいるからな。そいつらの暴走を抑えるために、心苦しいが彼女には少なからず泥を被ってもらわなければならないんだ。せめて何とかテスタロッサ家と同じくらいまでは治めるが……すまない……」
「いや……いい。俺達が思う様に、全ての人間が真実を受け止められる程強い訳では無いと既に理解している。それに、これははやてや騎士達が選んだ道だ。あまり出しゃばって干渉し過ぎるのは無粋だし、真にあいつらのためにもならない。あいつらの選択を見届けた俺が彼女達の決意を汚す訳にはいかないからな。そこは妥協するさ」
そう言うと話を切って落ち着くために、エレンが淹れてくれた紅茶を飲む。ふむ……味は士郎が淹れた紅茶にはほんの僅かに及ばないが、それでも上品な香りと味わいでのど越しも良かった。喫茶店で出されても十分問題ないレベルだ。
サルタナも同様に紅茶を飲むと、彼はエレンにまた腕を上げたな、などとお褒めの言葉を送っていた。
「やはり紅茶は良い。エレンの紅茶が無ければ、俺の一日は始まらん」
「私の紅茶をそこまで評価してもらえて光栄ですわ」
「ふむ、サルタナは紅茶党なのか?」
「そんなの当然だ。世間ではよく朝食や休憩時に飲む物としてコーヒーと一緒に上げられるが、あんな泥水と比べるなんて紅茶にも失礼極まりない! 紅茶こそ全ての飲料水の中で最高に決まっているだろう!」
「あ、ああ……そう、だな」
「ごめんなさいね、サバタ。閣下ったら、紅茶の話になると途端にムキになってしまうの」
急に凄い剣幕で紅茶の美点を饒舌に語り出したサルタナの様子を前に、耳打ちでエレンがそう伝えてきた。それならそうと先に言って欲しかった……。サルタナの前でコーヒーなんか飲んでしまったら絶対に怒られそうだ。以後、気を付けよう……。
「それに紅茶にはレモン汁を入れる輩もいるが、あれは邪道だ! 紅茶の大事な風味を一気に損なってしまう! まったく、連中は正気か!?」
「わかった、紅茶が素晴らしいのはわかったから他の話をしよう? な?」
「そうですわ、閣下。その話はまたの機会にゆっくりと行えばよろしいですわ」
「む……エレンがそう言うなら、まだ2時間程、語り足りないがここまでにしておこう」
放っておいたら2時間も紅茶の話をするつもりだったのか。早々に切り上げてくれて本当に助かった……。
「そういえば……アレクトロ社は今、どうなっている?」
「社長の崩御に立て続けのスキャンダル、多額の賠償請求を受けてかなりの損害を負いましたが、あの規模の会社はそう簡単には倒産しませんわ。と言っても、今回のような計画を起こせる程の力や繋がりはもう残っていないでしょう」
「不正を働
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