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幸せは消えて
2部分:第二章
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第二章

「いい国だって」
「ええ、そう思いますよ」
「さあ、どんな国なんでしょうね」
 若者も烏達も期待に胸を膨らませてそのアリュート国に向かった。三日程歩くともう彼等の目の前に巨大な城壁が見えてきたのであった。
 その城壁を見てまず烏達が驚きの言葉を口にした。
「うわ、また大きいですね」
「こんな大きな城壁を何時の間に」
「見事だね」
 若者もその城壁を見て言うのだった。城壁はまだ見えたばかりであったが仰ぎ見るような大きさであった。しかも横に何処までも続くかのようであった。
「ここまでの城壁を築くなんて」
「こりゃ相当凄い国家ですよ」
「こんな城壁滅多にありませんから」
「うん。ただ」
 だが若者はその城壁を見てもあまりいい顔をしてはいなかった。むしろ何処か暗い、その城壁から何かを感じ取ったような顔をしていた。
「この城壁を見ていると」
「あれっ、何かあるんですか?」
「立派な城壁じゃないですか」
「立派なことは立派だよ」
 彼もそれは認めるのだった。
「けれど」
「けれど?」
「何かあるんですね、やっぱり」
「物々しいね」
 彼が城壁から感じたのはこのことだったのだ。
「どうにも」
「物々しいですか」
「この城壁が」
「高いし何処までも続いているし」
 若者はその城壁を見ながら語る。
「それに堅固そうだけれど」
「いいじゃないですか」
「本当に立派な城壁ってことですよね」
「それでも。城壁の上なんかは」 
 要所要所に均等に塔が置かれ城壁の上には兵士達が詰めているのも見える。それぞれの手に弓矢や槍を持っており魔道師の法衣を着た者達まで見える。しかも男だけでなく女までもが武装してそこにいるのまで見えるのであった。若者はそうしたものも見たのだ。
「あれだけ物々しい警備は見たことがないけれどね」
「言われてみれば」
「そうですね」
 烏達も彼のその言葉で気付いたのだった。
「あれだけ物々しい警備って」
「私もはじめて見ました」
「そんなに激しい戦争をしているのかな」
 若者は次にこうも思うのだった。
「この国は」
「何か周辺の全部の国と仲悪いそうですけれどね」
「既に何度も戦争をしたっていいますし」
「何度もね」
 若者は今の烏達の言葉も聞いた。
「そんなにしているんだ」
「何せ土地を詐欺同然で手に入れてそこに国を作ったそうですから」
「アルト族がどかどかと乗り込んできまして」
「そうして作った国なんだ」
 若者は目の前の国の建国の話もここで聞いた。
「何か色々とあったんだね」
「はい、本当に」
「どうやら今もかなり物騒みたいですね」
「けれど行こうか」
 それでもこう言う若者だった。
「あの国に」
「そうですか。行くんですね」
「やっ
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