猟兵としての生き方
第4話 赤い星座
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たわるリィンを俺は少し疲れた表情でそう言った。
(しかし今回はちょっと危なかったな、特訓だからギリギリ死なないように加減はしているがちょっと予想外だ)
今までは俺がリィンをほぼ圧倒していたが今回はかすり傷をつけられた。最初のころは俺についていくだけで精一杯だったのにたった2年で手加減していたとはいえ自分に傷をつけるとは……俺は自分の息子の成長に驚いていた。
「しかしお前も物好きだな、どうして太刀なんか使おうと思ったんだ?」
「えっ?」
俺はこの2年の間に、リィンには様々な武器の使い方を教えた。自分に合う武器を選ぶためとその対処法を教えるためにナイフや剣、銃といった基本的な物から猟兵が好んで使うブレードライフルまで知る限りの武器の使い方を教えたつもりだ。
なのにリィンは俺が使っている太刀がいいと言ってきたのでそれを与えたが、猟兵としてはあらゆる状況でも戦えるブレードライフルとかの方がいいんじゃないかと思っていた。
えっ?俺は良いのかだって?双銃剣も使ってるからいいんだよ。
「……その、笑ったりしない?」
「おう、そんなことはしねえよ」
「団長と同じものが使いたかった……なんて……」
顔を赤くしてそう言うリィンに、俺も少し照れ臭くなってリィンの頭をガシガシと乱暴に撫でた。
「だ、団長?」
「なんでもねえよ……(やべえな、少し嬉しく思っちまった。これも親としての感情なのかな……)」
首を傾げるリィンに俺は何でもないと答える。
「でも団長も珍しいよね、だって猟兵なのに太刀を持ってるんだから。確か太刀って東方の方にある武器だよね?」
「まあな。俺が太刀を持ってんのはコイツが俺のダチの形見だからな」
「それって前に効いた団長の友達だった人の事?」
前にリィンとケンカした際、俺達はその後仲直りして俺はかつて守れなかったダチについてリィンに話したんだ。
「ああ、こいつはそのダチのもんでな。そいつはカルバート共和国出身だったんだ」
「へぇ、だから太刀を持っていたんだ。もしかして団長の剣術はその人に教わったの?」
「いや、俺は我流だ。そいつ、剣の腕はまったくなかったんだ。正直素手で戦った方が強いんじゃないかと思うくらい剣術の才能がなかったぜ」
「そうなんだ……」
俺のダチは剣術の才能はなかったが、それでも諦めずに修行を続けた負けず嫌いな奴だったな。あいつが死んじまった際、俺は死文の不甲斐なさを忘れない為に太刀を貰ったんだ。勝手に持ってきちまったから、あいつ怒ってるだろうな……
特訓を終えた俺達はアジトに帰る事にした。そのとき俺は思っていた、リィンという『芽』が芽吹く時は来たのかも知れないと……
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