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晃とクロ 〜動物達の戦い〜
3部分:第三章
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れも拾った縁」
「拾ってもらった恩とかは考えないの?」
「恩!?まさか」
 しかしクロは晃のそんな言葉をすぐに笑い飛ばした。
「猫に恩義なんてさ。求めるなよ」
「聞いた僕が馬鹿だったよ」
「じゃあな。ちょっと行って来るぜ」
「気をつけてね」
 そんなやり取りの後でクロは窓から外に出た。そしてその日はそのまま帰っては来なかった。晃は暫く待っていたが何時まで経っても帰って来ず、これ以上待っても仕方ないと思いシャツとトランクスだけになってベッドに入った。そしてその中であれこれと考えていた。
「あんなこと言ってるけど」
 やはり不安であった。
「そんな危ない人に。何をするつもりかなあ」
 それを考えるだけで不安が増す。しかし今からあれこれと考えても仕方ないのでそのまま眠りに入った。その日はそれで終わりであった。
 次の日学校での授業と部活を終えた後で家に帰った。部屋に入るとそこにはクロがいた。
「よお」
「帰ってたんだ」
「ああ、とりあえずやることはやって来たぜ」
 クロは胸を張ってこう言った。
「やることって?」
「外を見てみな」
 窓の方を指差して言う。
「これで。あの住職さんにも負けないと思うぜ」
「うわ」
 窓の外の道や家の屋根、そして電線等に彼等がいた。
 そこにいたのは大勢の動物達であった。クロと同じ猫だけではなく犬や鼠、狐、狸、蛇、そして烏や鳩、雀達までいた。
「この動物達は?」
「俺の同志さ」
 クロは晃に顔を向けて言った。
「俺と同じく住職さんに脳味噌を食わされた連中さ。俺が一日かけて集めて来たんだ」
「こんなにいたんだ」
 どれだけいるか一目ではわからない程である。かなりの数であるのは間違いなかった。
「そうさ。けれど住職さんの方にもいるんだ」
 クロの言葉が鋭いものになった。
「それは覚えておいてくれよ」
「そっちの方はどれ位?」
「まあこっちの方が多いかな」
 クロは少し考えてから言った。
「それも結構」
「じゃあ問題ないんじゃないの?」
「ところがそうも言ってばかりはいられないんだ」
「何で?」
「向こうには住職さんがいるから」
 彼は答えた。
「言っただろ、住職さんは脳味噌を食べてるって」
「うん」
「それも何人も。だからもう化け物みたいになってるんだよ」
「化け物」
「今じゃ悪人とか元スポーツ選手とかの脳味噌や内臓まで食べているから。相当な力を持っているんだ」
「そんな人とやらなくちゃいけないんだね、僕達」
「そうさ、だからこそ気をつけなくちゃいけない」
「それでどうするの?」
「それを今から話したいんだけれど」
「わかったよ。それじゃ何処で?」
「ここじゃ駄目かな」
「入られると思う?」
 晃はクロを見下ろして言った。

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