エピソード33 〜譲れない事〜
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実力トップクラスである三沢と十代を見事打ち破り、バトルロワイヤルを制した紫苑に送られたのは、勝利を讃える歓声などではなく、批難の嵐。
月一試験でも丸藤先輩を倒した時もこんな事あったな、とため息を吐く。
「面倒だな」と多少なりとも後悔していた。
だが、紫苑一人が後悔したところで、一向に紫苑へと浴びせられる罵詈雑言は止む気配はない。むしろ、紫苑がリアクションすらない事に対して、無視されていると感じたのか、非難の声がより大きくなる。
そして、予想だにしない展開に教員達は慌て、なんとかして静めようとするが焼け石に水だ。そんな中で一人、冷静になって状況を把握しているとわかった事が数点。
まず、現在進行形でブーイングしている奴らは生徒の凡そ半分。特にオベリスク・ブルーの連中が中心になって叫んでいる。そして、そのメンバーの中には何人か見覚えのある顔が居た。
……あぁ、万丈目の取り巻き連中か。ボスが居なくなって別の奴についたか。
大方、そいつらの新たなボスの企みだろうな。
冷めた視線で元凶とおもわしき人物をみていると不意に肩を掴まれる。振り向けば、心配そうな表情をした十代と、憤怒を露わにした三沢の姿があった。
何事かと尋ねれば、言いたい放題にさせたままでいいのか?という事だった。
「なぁ、紫苑!悔しくないのかよ、あいつらにあんなに言われて!」
「別に……慣れたよ。俺に対する批判や非難なんて……。」
「それはどういう……」
事だ。と三沢が口にしようとするがそれ以上聞くなと視線で制され、言葉が詰まる。
批難を受けても冷静な態度を貫く紫苑だが、彼にも言って欲しくない言葉はある。
「あんな弱小モンスターばっかり使って勝って、相手に失礼だと思わないのか!」
「くっ……!」
誰かがそういった瞬間、紫苑の表情が一気に険しくなる。
「お、おい……紫苑。」
険しい表情のままに一歩前へと出る。何かしでかすと直感した三沢は咄嗟に止めようと試みるが今まで感じた事のような殺気を受け、退いてしまう。
ワーワーと煩い中、紫苑は息を大きく吸いーー
「 だ ま れ ! ! ! ! 」
非難の声など掻き消すほどの絶叫が会場内に轟き渡る。一瞬にして、静まり返った会場の中で一人、紫苑は憤怒の色を滲ませながら口を開く。
「俺がいくら非難されようと構わない……。
だが、俺の仲間を貶めるのは、何があっても、許さない!!」
自分が罵倒されるくらいなら我慢できるし、適当に受け流す。
だけど、俺について、力を貸してくれた精霊達や一緒に闘った、十代たちのデュエルを否定する事は、許さない。
紫苑の言葉を受け、今だ静寂に包まれている中でパチパチパチと乾いた音が響く。
音
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