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剣の丘に花は咲く 
第十五章 忘却の夢迷宮
第二話 踊るもの、躍らせるもの
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が建つわね。でも、結局全部あの女に持っていかれる事になるんでしょうけど」

 地面の上に引いた敷物に体操座りで座っていたルイズが、不機嫌を露わに遠くに見える凛を睨み付ける。

「あら? 大分お冠のようね」
「……わたしにあんな事言った癖に、あなたどうも思わないの? 大体何よあの女。シロウをあんなに振り回して一体何様のつもり」
「それをあんたが言うか……」

 ぶつぶつと文句を口にするルイズの隣で、キュルケは顔を手で覆いながら空を見上げた。

「そんなに文句があるなら直接言ったらいいじゃない。な〜にぐずぐずしてんのよ」
「それは、だって、ほら、言ったじゃない」
「不安ねぇ……だからって何時までも後手に回ってたら何も変わらないわよ。そう言えばテファとかミス・トオサカと話とかした?」

 首を傾けそわそわと落ち着きのない様子を見せるティファニアにキュルケは顔を向けた。

「えっ?! あ、その、す、少しだけ……え、えと、アルトと一緒にいたとき、ちょっとだけですけど」
「そう、ま、あたしも同じようなものなんだけどね。で、アルトに聞きたいんだけど」
「何でしょうか?」

 コツコツと剣の柄を指先で叩きながら中洲の決闘場から顔を離したセイバーが、キュルケに視線を向ける。

「アルトから見たミス・トオサカってどんな人?」 
「リンがどのような人物か、ですか? そう、ですね」

 剣から手を離したセイバーが、顎に手を当て暫らく考え込む様子を見せた後、一つコクり頷くとキュルケに小さく笑いかけた。

「リンはとても強く、そして可愛らしい人です」
「強くて可愛いねぇ……何それ、最強じゃない? 何か弱点とかないの?」
「弱点、ですか?」

 何時の間にかキュルケだけじゃなくルイズやティファニアの強い視線を向けられている事に気付き、困ったような笑みを浮かべていたセイバーだったが、何かを思い出したかのように不意に口元を小さく歪ませた。

「なになに? 何か思い当たる節でもあるの?」
「私が最後にあってから随分経っているようですので、今もそうか分かりませんが、昔は色々と最後で失敗していました」
「失敗? なに? それってどう言うこと?」

 もっと詳しく教えなさいと言わんばかりにキュルケたちの身体が前のめりになる。あまりの食いつき良さに、セイバーの顔に思わず勝手に苦笑いが浮かぶ。凛の個人情報というかプライバシーというかそういったものを口にするのは憚れるが、これを切っ掛けに仲良くなれればと考えながら遠坂家に伝わる“うっかり”の呪いについて説明しようとした。
 だが、
 
「あれ? タバサ何処いくのよ?」
「…………」
「何よ、あなた聞いていかないの?」

 セイバーの話を聞かんとするルイズたちに背を向けて
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