第十五章 忘却の夢迷宮
第二話 踊るもの、躍らせるもの
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! 確実に稼げる時に稼ぐのが商売よっ!! 最後までキッチリやりなさいっ!!」
「……何時から商売になったんだ」
宝石から顔を上げた凛が、指を突きつけながら厳しい口調で士郎に言い募る。
凛から顔を背けぼそりと文句を言った士郎は、このままではいけないと頭を大きく振ると何とか現状を変えようと進言しようとするが。
「そうは言うが―――」
「それにあんたがここで止めたら、次は確実にセイバーが飛び込むけど、いいの?」
「あ〜……それは、困るな」
凛の指摘に、士郎の視線が川向こうにある小高い丘でルイズ達と共にこちらを見ているセイバーに向けられる。ルイズたちの横で護衛よろしく立っているセイバーの様子はなんら何時もと変わらないように見えるが、時折腰に差したデュランダルに触れながら身体をそわつかせていた。明らかにこっちに行きたそうだ。
確かに凛の言う通り士郎がここから戻れば、確実にセイバーが次の決闘に名乗りを上げるだろう。
それだけは阻止しなければならなかった。
何故ならば、かなりの高確率で死亡者か重傷者が出るからだ。
何せあのセイバーにデュランダルだ。鬼に金棒以上の危険な配置である。セイバーがデュランダルを手にしてから結構な時間が経つとは言え、いくらセイバーが天才であったとしても、元々に所有していた剣ではない。デュランダルの切れ味故に下手をすれば決闘の際、相手を真っ二つにする可能性は否定できないのだ。
つまり、士郎は敵の身を守るためにこの決闘を続けていたとも言えるのである。
「だから最後まであんたが責任もって戦い続けなさい」
「……理不尽だ」
完全に目が宝石に変わっている凛に呆れた声を向ける士郎。元々士郎がこんな場所で決闘をしているのかというと、一言で言えば遠坂凛のせいであった。この中洲での決闘で負けた相手を捕虜とし、釈放金を手に入れる事が出来ることを知った凛は、士郎に一つの紙を突きつけてきた。
『請求書〜五千四百八十七万六千四百八十六円也』そう書かれた請求書を。
恐る恐る士郎が凛にその請求書について尋ねてみたところ、
『こっちに来るために使った宝石の費用よ。あんたの為に使ったんだから、勿論払ってくれるのよね』
と恐ろしいまでに素敵な笑顔でそう言ったのだ。
そんな理不尽な要求を、士郎は勿論―――断れなかった。
「……しかし、随分とギーシュ達とは仲良くなったようだな。ギムリなんて姐さんとか言ってたぞ」
「まあ、男どもとはな。しかし肝心の娘っこどもとはまともに話している所は見たことねえぞおいら」
「確かに……」
凛がこの世界に来てから既に数日が過ぎていた。
士郎は最初、元の世界の魔術と
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