第五幕その二
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「先生、この前言ったけれど」
「匂いだね」
「うん、猫の匂いだけれど」
「それがとりわけ強い」
「そう、猫又の匂いだね」
それがだというのです。
「それがするよ」
「うん、確かにね」
ガブガブも言います。
「匂いがするね、あの匂いが」
「じゃあこっちに来るのね」
ダブダブは少し姿勢をただした感じになっています。
「研究室に」
「それじゃあお茶の用意をしようかな」
先生はここでこう言いました。
「そうしようかな」
「うん、それがいいね」
「そのお静さんが来るのならね」
それでと言う老馬でした。
「お静さんの分もね」
「お茶を用意しないとね」
「僕達は僕達で淹れるから」
「自分達でね」
オシツオサレツは先生が自分達に気遣いをするのを止めて言いました。
「だから気にしないで」
「気遣いはしないでね」
「そうそう、先生は二人分だけ用意してね」
ダブダブもこう先生に言います。
「そういうことでね」
「わかったよ」
先生は皆の言葉に笑顔で応えました、そしてです。
お茶を二人分用意しました、そのうえで。
さらにです、皆もそれぞれのお茶を用意した時にです。
兼休日の扉がノックされました、先生がどうぞと言いますと。
お静さんが来ました、今日は割烹着姿です。その服で研究室に入って来てそれで先生に言ってきました。
「こんにちは、今日もお邪魔しに来たわ」
「うん、こんにちは」
先生はそのお静さんにまずは挨拶を返しました。
「今日は何の用件かな」
「先生またお店に来たみたいね」
「あっ、わかるんだ」
「気が残っていたからね」
それでわかるというのです。
「お嬢さんと会ったのね」
「どんな人かその目で見たくてね」
「慎重ね、私のお話を聞いただけじゃなくて」
「この目でも見ないとね」
「先生の主義ね」
「人のお話を聞くことも大事だけれど」
それでもというのです。
「自分の目で見ることも大事だから」
「そういうことね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「お店に行ったんだ」
「そうなのね」
お静さんは先生の言葉を聞いてこう言いました。
「先生らしいわね」
「僕らしいかな」
「そこで私の言葉だけを聞いてたらね」
それだけではというのです。
「ちょっとね」
「駄目だったっていうんだね」
「そう、百聞は一見に過ぎないから」
お静さんもこう言うのでした。
「そこで自分も、ってなったのは流石よ」
「そう言ってくれて嬉しいよ」
「いえいえ、先生は学者でしょ」
このことからです、お静さんは言うのです。
「学者ならね」
「自分で見ることも大事だっていうんだね」
「フィールドワークっていうのよね」
お静さんはこの
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