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Fate/stay night -the last fencer-
黒守黎慈とフェンサー(4) ─交錯する心─
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いうよりフェンサーじゃなかった場合を考える方が恐ろしい。

 その場合、フェンサーは何者かの侵入を許したということになるのだが。

 マジであのサーヴァント、今度は何を仕出かそうというのか。

「おい、フェンサーだろ! 何のつもりだ!?」

 思わず声を荒げる。

 正直信頼しているといっても、無防備なところに不意を突かれるのは不愉快である。
 さすがに害意を持っている訳ではないのは理解するが、意図不明な行動は説明を要する。

 つまり『なんなんだおまえ!』ってことである。

 ただこのままオロオロしていてもしょうがない。
 そんな様を見て面白がっているかもしれないしな。

 浴室内に居なければ特に問題はないんだ。

 洗髪中で視界が塞がっているとはいえ、そこまでだだっ広い浴室という訳ではない。
 適当に手を泳がせて周囲を確認しつつ、壁伝いに調べれば人の有無はすぐに分かる。

 そして予期せぬタイミングで、泳がせていた手がナニかを鷲掴みにした。

「やんっ」

 可愛らしい声と共に、俺の右手が不可解なモノに触れた。
 今まで生きてきて触れたことのないような、極上の柔らかさを備えた物体。

 なんだこれは。

 なんだこれは。

 頭が理解に追いつく前に男の本能がソレを察知しているが、理解した瞬間頭がオーバーヒートするのは分かっているので冷静に頭を冷やす。

 おちちけ、いや落ち着け。

 中に居ることは確認できたのだからすぐにでも離せばいいのに、右手が全く言うことを聞かない。
 この馬鹿、戦っているときと同じレベルで頭を冷やせ、平常心を保て。心を、感情を殺すことに徹しろ。
 魔術師は自らをコントロールすることに長けているものだ、間違っても理性より優先される事象があってはならない。

 このままでは股間に硬化の魔術がかかってしまう!

 恐らく全裸をまともに見られているがこの際どうでもいい。
 まかり間違っても────に触れたくらいで反応してしまっては、情けなくて立ち上がれなくなる。
 別のところが立ち上がれば問題ないとか言ったの誰だ、もう一人の俺か? わるいれいじくんは封殺だ、出番はない引っ込め。

「ふふふ」
「うぇっぷ!?」

 頭からシャワーをぶっかけられた。

 突然浴びせられた驚きで手を離してしまう…………名残惜しいわけじゃない、むしろ離せて良かったんだ。
 だが頭の泡が全て流れ落ちても、目を開けることはできない。目の前には恐らく俺と同じく、全裸のフェンサーが立っているはずだ。

 だってさっき触れた感触は生肌だった。
 まず間違いなくタオルも何も巻いてはいなかった。

 つまり状況は何も変わっていない。

 俺の方からどうする
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