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Fate/stay night -the last fencer-
黒守黎慈とフェンサー(4) ─交錯する心─
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呪を以てすれば、サーヴァントであるフェンサーの行動を抑制する方法はいくらでもある。
しかし令呪も魔術の一種である以上、永続的な効力は得られない。最後には三画全てを使い果たして彼女に束縛のない自由を与えるか、最後の一画を使うまでに彼女の命を断つしかない。
フェンサーを殺してでも止めなきゃいけないような願いなんて、もはや俺には想像もつかない。
ただ彼女の願いの内容が本当に俺にとって許せないものであったとしたら、俺は彼女を止める為に殺せてしまうことが分かるからこそ受け入れられない。
俺とフェンサーが契約関係にあり、令呪がある以上殺すことは簡単だ。
それこそ自害させるなり捨て身で特攻させるなり、無抵抗を命じて手を下すなりいくらでもやり方はある。
何よりも容易に過ぎるからこそ、絶対にそうしたくないと思うのは当たり前だ。サーヴァントではなく人間としての彼女を尊重し、蔑ろにしたくないからこそ認められない。
互いに譲れない部分とか以前に、そこが既に譲れないのだから。
「考えはまとまった。まとまってないけど腹は決まった」
聖杯戦争が終わるまでにはまだ時間はある。
現状では他の陣営が動くまで様子見なんて状態だ、長引けば長引くほど個人的には猶予が出来て有難いくらいだ。
何とかもう少し情報を引き出して、彼女の願いに見当を付けて、事情を話させる。
説得出来る可能性があればいいし、最悪でも互いに妥協できるところまで持って行けなければ今の関係を続けられないし共に戦えない。
「……朝風呂でも入るか」
二人で決めた方針の上でも、今日は休みのようなものだ。
せっかく新都近郊に居るのだし、フェンサーを連れて散歩でもすればこの陰鬱とした気分も晴れるかもしれない。
何においても割り切るのは得意だ。昨晩フェンサーと少し言い争ったからといって、いつまでも引きずるようなことはしない。
せっかく小さい安いホテルとはいえ、家よりも広い風呂があるのだ。
間を空けることなく戦闘が続いたせいで疲労も溜まっている。
たまにはのんびり、ゆったりする時間くらいあってもいいだろう。
「そして俺は抜かりないぞ」
浴室前を入念に調べ、フェンサーが居ないことを確認。
ついこないだ、風呂上りらしきフェンサーとバッタリ、があったところだ。
あのおバカサーヴァントは平時における行動が読めない。下手なラブコメがしょっちゅう起こってもたまらないので、予防出来るときはしておく。
ササッと服を脱ぐ。寒くても着込む方ではないのですぐに全裸状態。
気配を感知したところフェンサーは近くに待機しているようだが、まさか主の裸を覗く趣味などあるまい。
湯船
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