暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
黒守黎慈とフェンサー(4) ─交錯する心─
[11/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初
ンサーに負わなくていいものを預けてしまうと思ったから。





「どんな人生だろうと幼い頃は両親の愛情受けて、まあ曽祖父さんからも魔術師としての愛情……愛憎受けてきた。他にも俺と関わった人間全員まとめて、俺の人生の一部だ。
 それらがあるから今の俺がある。受け入れて背負ってるからこそ今の俺なんだ。否定も拒絶もしないし、憎いだとか辛いだとかも思っちゃいない」

「これからのことは……ま、分からないことだらけだが、悪いようにはならないと思ってる。俺は俺のまま面白おかしく、楽しく生きていく。涯てのことなんて考えても仕方ないし。
 だから聖杯に願うような事、頼るような事は何もないのさ。俺の世界は過去も未来も俺で完結している」





 想像もつかない生涯を生き抜いただろうフェンサーに、まだ四半世紀も生きていない俺の言葉がどこまで届くのかは分からない。
 けれど俺が黒守黎慈として生きていく上で大事にしていること、決して曲げず歪めず最期まで貫くべき指針を示したつもりだ。

「──────レイジは強いね(・・・・・・・)

 手を止め、背中にしなだれかかるようにしがみつくフェンサー。

 初めて聴く声色に若干戸惑う。
 俺の過去を垣間見たせいで、彼女に何らかの迷いを与えてしまったのかと不安になる。
 サーヴァントは座から映し出された存在。本人ではないが、この聖杯戦争においては限りなく本人に近い形で再現される。

 ならばその思考や精神性、抱いている無念や願いも本物であり、俺のような人間一人の影響でフェンサーが揺らぐことはないはずだ。

 ただ彼らも、もとを正せば人間だ。影響がゼロなんてことはないのかもしれない。
 それが座に居る本体とも言うべきモノには何も関係しないとしても、今ここに現界している彼らには響くものがあるのだろうか。

「どうしたんだよ、ホント。朝かららしくないぞフェンサー」

 背中越しのフェンサーの表情は伺えないが、ギリギリ後ろに回した手で彼女の頭をわしゃわしゃと撫でる。

 珍しいと評すると失礼かもしれないが、彼女のしおらしい姿など初めてだ。
 もしや昨晩見たという俺の過去が、フェンサーの琴線に触れるような内容だったのだろうか。
 俺のような人間のくだらない過去も、先ほど述べたばかりの生き方も俺個人の話なので、フェンサーが気にかける必要はないというのに。

「別に聖杯を求めることを非難したわけじゃないぞ。人が一生を終えた後に残るモノなんて、俺なんかじゃ想像もできない」

 彼女が生きた年月は、俺の年齢と比べれば少なくとも倍以上はある。

 人生何があるかなんて分からないし、遣り残した事、叶わなかった事なんてきっと誰にでもありふれている。
 フェンサーだけじゃ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ