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Fate/stay night -the last fencer-
黒守黎慈とフェンサー(4) ─交錯する心─
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保管されることもないのだから。
(いかん、思考が脱線した)
ともかく夢で見た限りにおいて、フェンサーが青年を害するとは思えない。
やむを得ない事情によって青年に生命の危機が訪れ、苦肉の策で記憶を保存したとか…………なんだこの妄想は、少年漫画かっての。
──────いや、記憶ではなく魂の保存?
魔術的観点で言えば、記憶は肉体ではなく魂に依存する。
魔術回路なども魂に存在するが、魔術において必要不可欠とされながらも魔術において扱うことは至難とされる
第二要素
(
たましい
)
。
利用するのは難しいが、魂自体を取り扱う術は普通に存在している。記憶を覗く魔術も、云わば魂の表層情報を掬っているようなもの。フェンサーが青年の魂を、何らかの手段で保存している可能性はある。
というより魔術的契約によって繋がっているだけで記憶の流入が起こるのならば、保存媒体は外ではなく内、フェンサーの肉体に保存されていることになるのではないか。
聖杯戦争によってサーヴァントが現界するにあたって、宝具は当然として、かつての衣服や装飾品、
英雄本人の記憶・人格
(
・・・・・・・・・・
)
も再現されている。
その再現の精度は言うまでもなく、ライダーのケースで考えても、召喚という形とはいえ彼女の愛馬である天馬さえも
宝具
(
持ち物
)
として顕れたのだ。
魂も魔術においては第二要素、物質と定義されている。
特殊なものとはいえ、その英霊の持ち物として見做されたとしたら、同じように他者の魂を抱えた状態をも再現される可能性は高い。
ならば俺が夢に見る青年側の記憶と思しきものは、フェンサー自身ではなく彼女が抱えている青年の魂からの情報の流入であるという推論が立つ。
「…………もしそうだとして、それがなんだってんだ」
思わず独り言が漏れるほどにどうしようもなかった。
結局のところ確信はないし、事実そうだとしてもその情報をどう役に立てればいいのか見当もつかない。
ここまでの考察が無意味だったわけではないので、今後役に立つことを期待しつつ今は頭の片隅に追いやる。
とは言っても、これ以上考えても得られるものはなさそうだ。
フェンサーがポロっと情報を漏らすのを期待するか、また記憶の夢見が起こることを期待するしかない。
記憶の夢見は正直フェンサーの過去に無断で踏み入る行為なので、本来なら彼女に相談してでもやめるべきことだと思っていたんだが、こっちにも引けない理由がある。
俺は彼女の言葉を止めてくれと受け取ったが、実際に彼女が言ったのは『殺してくれ』だった。
それは願いを叶える瞬間が来たら、例え何が立ちはだかろうと、他の何を踏み潰してでも止まらないという意思であり決意表明だ。
令
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