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豹頭王異伝
曙光
精神治療
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じた。
 誠に残念至極ではあるが、已むを得ぬ。
 貴様との決着は後廻しだ、腕を擦って堪えてやる」


 奇怪な髑髏は顔を綻ばせ、わざとらしく大袈裟に嘆息。
 首のみで直立するのも飽きたと見え、途方も無く年老いた骸の如き全身を現す。
 落ち窪んだ眼窩の奥に、炯炯と強い光を発する闇黒の瞳が拡がる。
 黒衣を纏う身体から異様な波動が迸り、空間を染めた。

「ありがたき幸せ、気が変わらぬうちに話を進める方が得策じゃな。
 陛下の御要望に応え、木っ端魔道師を呼び出してやるとするか。
 ほら、こ奴だよ」
 再び闇が渦巻き寝室の角、結跏趺坐の姿勢で潜み黒衣を纏う影2体を映す。
 1級魔道師ラス、タールは不意に顔を上げ慌ただしく四方に視線を走らせた。

「ほう、見られている事に感付いたか?
 ヴァレリウスの阿呆も多少は、出来る奴を送り込んだ様じゃな」
 強力な黒魔道師の気配を察し、狼狽して周囲の空間を撫で廻す魔道師達。
 唐突に動作が凝固し、驚愕の叫びが迸る。

「陛下、ケイロニアの豹頭王様ではありませんか!
 王妃様の警護中であります故、御容赦願います!!」
 国王に対する礼を捧げる余裕も無く、慌てて平伏。
 無人と見えていた寝室の角で闇が渦巻き、もうひとりの魔道師が現れる。


「貴様、どうやって、急激に基本的な魔力を数倍に高めた!?
 儂にも気配を悟らせず隠れ通す程の術、何処で身に付けたのじゃ!
 イェライシャが尻尾を巻いて逃げ戻り、密かに貴様等を鍛えでもしたか?
 対等に儂と闘えるレベルではないが、小癪な真似は許さん!」

「待たんか、グラチウス!
 シルヴィア護衛の為、魔道師を借りた依頼人(クライアント)は俺だ。
 勝手に喧嘩を売るな、闘うなら俺が相手になるぞ。
 スナフキンの剣よ、お前の」

「待て、茶番は止めだ!
 魔剣を出すなら、わしゃ逃げるぞ!!
 王の遊びには付き合いきれん、右腕が光っとるじゃないか!
 遠隔視の術も解くからな、シルヴィアの安否確認は勝手にやれ!!」

 グインは吼える様に笑い、一旦は高く掲げた逞しい腕を下した。
 グラチウスにも悟らせぬ気配隠しの術、同僚の特技を解除した魔道師に微笑。
 1級魔道師キアス、マウラス、モルガン、キノスも遠隔心話を受け寝室に集合。
 パロの魔道師達を代表して、ディランの唇が動いた。


「我等の魔力は陛下の御力にて強化され、感謝の詞を捧げる次第であります。
 1ザン程前に到着致しましたが、危うい所で御座いました。
 シルヴィア王妃殿下は錯乱状態に陥り、自暴自棄の感情に支配されております。
 周囲の制止も聞く耳を持たず、取り返しの附かぬ行動に移る寸前でありました。

 寝室に結界を張り、失礼ながら御記憶を確
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