薄明
波及効果
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「グイン殿の御助力、御支援の数々に改めて感謝を申し上げます。
我が主、アルド・ナリスより伝言があります」
「ああ、わかっている。
精神接触《コンタクト》の際、古代機械に俺から命じておいた。
闇の司祭めは、放っておけ。
太子殿が見つからぬとなれば、慌てて戻って来る。
グラチウスの言によれば、アモンは真に痛手を被った様だな。
今夜は黒魔道の再攻撃は無い、と思われるが油断は禁物だ。
パロの魔道師達にはすまぬが、クリスタル進軍は朝まで待つ。
アモンは俺が何とかする故、シルヴィアを頼む。
ルカに予言された最大の弱点、悲しみの乙女を見捨てる事は出来ぬ。
何とか救ってやってくれれば、一生恩に着る」
ヴァレリウスは、深々と頭を下げた。
灰色の眼に誠実な光を宿らせ、トパーズ色の瞳を覗き込む。
「それ以上、仰る必要はありません。
一生恩に着るのは、私達の方です。
大変光栄ですが、『一生恩に着る』は禁句とされた方が宜しいですよ。
魂を縛り、奴隷にする事が可能ですからね。
白魔道師の私でも、言霊の術は操れます。
ましてや黒魔道師なら、2度と呪縛から自由にはなれません。
口が裂けても闇の司祭、黒魔道師の類には仰られぬ様に。
魂返しの術を使い、ゾンビーにされてしまいます」
グインが頷き、忠告を肝に銘じた其の時。
銀色の思考が再び閃き、魔道師の脳裏を貫いた。
(御苦労だったね、ヴァレリウス。
的確な助言も含め、君の行動は称賛に値する。
古代機械が、精神接触の解除を要請している。
標準規定時間を超過の為、私の意識が吸収されてしまうとね。
精神接触を長時間、持続すると融合現象が生じるのだそうだ。
嫉妬の故に発した警告、の可能性もあるが危ない橋を渡る気は無い。
ヨナと一緒に、ゴーラ軍の野営地に瞬間移動する。
イシュトヴァーンの天幕で、待っているよ)
「わかっている、ヴァレリウス。
アルド・ナリス殿には大変感謝している、護衛を頼む」
魔道師軍団の指揮官は再び頭を下げ、ゴーラ軍の天幕に飛んだ。
「長々と待たせてしまい申し訳ありません、何をしていたか説明します」
「いや、私が聞いた処で理解は出来ないだろう。
魔道には疎いし、何も知らない方が良いと思う。
洗脳された場合、情報を洩らす危険が無い訳だからね」
魔道に馴染まぬ第三王位継承権者、ベック公ファーンには不本意な成行であったが。
スカールの姿は数タルザン前に消え失せ、古代機械の《母船》に転送されている。
ヨナの解説も理解している、とは言い難いが。
聖王家の武人波紋時間の浪費を嫌い、ナリスの言葉を遮った。
「そんな事はさせませんよ、私の命に換え
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