根上碧海さんは魔王になりたい!
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てきた。
「なんか緊張すんなー、TRPGだろ? 俺やった事ねえもん」
烏が興奮した様子で呟いて、隣で萩島が震えていた。
「ふふ、TRPG、実は私やった事あるの、得意なんだよ?」
槇原は烏に声をかける、萩島は未だに震えている。
教室のドアの前で、三人の勇者はさながら魔王待ち受ける城門に立っているかのようだ。
「へえー、槇原ってTRPGに詳しいのかー、心強いなーもう」
烏が萩島を挟んで向かい側に本を一冊抱えて立っている槇原に腕を伸ばしてちょっかいをかける。放課後で閑散とした廊下に若い男女のフレッシュな笑い声が轟いて、ようやく、震えたまま動かなかった萩島が動いた。
萩島は両腕に缶ジュースを抱えたまま右脚を上げて教室のドアの真ん中に狙いを定める、まるでその動きはまるで獲物を目の前にした豹の如く優雅で、美しい、完璧なフォームで萩島は右脚に力を込める。
「烏君って面白い人なんだね〜、あっ! 良かったらメアド教えてよ〜」
「えー!? かの美人優等生槇原幸歩が俺とメアド交換〜!? やべーちょううれしーんですけどー」
今時の若者らしい会話が二人の口から飛び出た瞬間、萩島悠馬は目の前の木の板を思い切り蹴飛ばした、いや、”蹴破った”のという方が表現としてはしっくりくるだろう、萩島の怒り満載の蹴りは、見事頑丈そうな教室のドアを真っ二つに圧し折り、そのままドアの残骸は教室の奥へと吹き飛んでいって見えなくなった。目を点にして驚く二人を尻目に、萩島は両腕に抱えていた缶ジュースの内二つを選んで背面に投げ、そしてそのまま教室の隅っこ、掃除用具入れの前に仁王立ちしている根上碧海の元へ向かう。
「――遅かったじゃない! 待ちわびたわよ!」
「おう! さっさと始めようや!」
槇原と烏の二人が教室内に入った時、その教室内の空気はまるでスポーツか何かの大会会場のようだったという。
「閑話休題ね」
「ああ、今更ながら思うけど、これ、TRPGの紹介も兼ねてるんだよな」
「そう、私達はその為に作られたといっても過言ジャないわ」
「今ちょいと片言になったな、変換ミスだ」
「仕方ないじゃない、作者の都合よ!」
「そのメタは流石にやっちゃ駄目っ!」
「ふふん、私のキャラがちょっとツンデレなのは涼○ハル○に影響を受けているからってのも都合よ」
「ああっ、もう! だからそれはやめろ」
「うふふふふふふふ」
「んだよ、そのぶきみな笑いは」
「良かったじゃない、アンタさ、このまま行けば私と付き合えるわよ?」
「!?」
「あの〜、そろそろ始めませんか?」
良くある学校の教室内、向かい合わせ、四つの椅子と机を組み合わせた四角いテーブルが隅に作られていて、その四つの席に、それぞれ、窓側に二人、根上と萩島が、その反対側、廊下側には烏と槇原が向かい合って座って
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