根上碧海さんは魔王になりたい!
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室から出て行った。後に残された萩島はメモ張に缶コーラと書いて、自分もその教室を後にした。
残るは一人。
萩島は自身が足になって買ってくる飲み物のリストが書き込まれたメモ張を握り締め、丸太のように太く逞しい(つもりの)自身の足を強く、何も罪が無い廊下の床を踏みつけながら、次に図書室へと向かった。彼はそこに三人目の勇者が居ると最初から理解していた。
「あっ、萩島君、どうしたの?こんなところで・・・何かあった?」
槇原幸歩、女子に果てしなく嫌われている男、萩島夕摩にとって唯一の良心である、彼女は容姿端麗頭脳明晰温厚篤実心はいつも明鏡止水の鉄壁超人、いつもかけている眼鏡の色は赤で伊達、その長い茶髪は気持ち金色よりだが、彼女の素行の良さから教師の間では天使とも言われている程である、目鼻が立っていてくっきりしている、それでいて握りこぶしと同じか、それ以下の小ささを誇る小顔美人、噂によるとお母さんが外国の方らしい凄い人。そう、だが萩島にとって残念な事にもう片方は萩島を体の良い足としてしかみなしていないので、カウント外。
萩島は痩せ細り、今にも光を失ってしまいそうな双眸を図書室のカウンターできょとんと首を傾げている槇原へと向けた。
「――やあ、俺の良心槇原さん、いきなりだけど一つ聞いて良いかなあ?」
なあに?と羽化したてのセキセイインコのように無垢な表情をする槇原。
「・・・普通学校って多くても五階建てくらいだよなあ?」
一方で息も絶え絶えに、気持ちの悪いと普段から女子の間で囁かれている低い声で尋ねる萩島。
「え、うんそうだね、だけど・・・」
だけども糞もあるかよ、とその場で悪態をついた萩島に、槇原は出来るだけ木に障らないよう優しく声をかけた。
「うちの学校、校長の趣味で超高層ビルになってるから仕方ないよ」
槇原の言葉は萩島に大きなショックを与えたようだ。萩島はその場で両腕を頭に載せて、図書室の天井を仰いだ。
「――作者ァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ! てめえさっきからどれだけ俺の事を悪く書けば気がすむんだーっ! 疲れるなんてもんじゃねぇぞぉっ! 二次元に来れないからって八つ当たりしてんじゃねぇーっ!」
彼が全力で叫んだ後、彼はどこからともなく現れた黒い服のごつい男達にどこかへと連れ去られてしまった。
後に残された槇原はその様子を楽しそうに見届けた後、独り言を言った。
「――都合により、一ページ飛びマース」
時空間が歪み! 今までの出来事がリセットされていく!
萩島夕摩は自身の名前を悠馬と改められ、物語は進みだす!
こうして、二つの教室を回り、萩島悠馬は自分以外の二人の参加者を集め、勿論彼らが望んだ飲み物を全て両腕に抱え、再び根上碧海が待ち受けている教室へと戻っ
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