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一人のカタナ使い
SAO編?―アインクラッド―
第一章―剣の世界―
番外編01?しばしの別れと新たな出会い
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病院来るのも久々だな〜。最後に来たのは十一月だっけ」
「来なさすぎでしょ」
「そう言うあんたは来すぎなのよ。毎日来たところで、意味ないんだから」
?意味がない。
?その言葉は私の心に深く刺さったような気がした。私は無意味なことをずっとしているんだろうか。
「……そうかな?」
?私は、ごまかすように笑いながら可憐の背中に話す。
「そうだよ。お見舞いっていうのは入院してる相手を励ますためにすることだもん。でも、私たちの相手って私たちの声が届かないじゃない」
?最後の言葉には、笑うように言っていたが、少しだけ悲しみにも悔しさにも似た感情が混ざっていたような気がした。結局、あんたも同じじゃない。私は心のなかで小さく呟く。
「それでも私は来るよ。家も近いし、やっぱり心配だしね」
「心配性だね〜夏菜は。ま、気持ちはわかるけどさ」
?なんて話していたら、目的の場所の前に到着した。
?その瞬間、鼓動が激しく高まる。悪いことをしてそれがバレそうになったときと少し似ている気がした。まるで、これから訪れるかもしれない不幸を予期するかのように、少しずつ鼓動が早くなる。
?そんな私を見て、可憐が笑い飛ばす。
「あんたなに固まってんのよ。大丈夫、いつもと同じだって」
?そう言って、バシッと私の背中を叩いたあとに病室のドアを開ける。
「お邪魔しまーす!」
「友達の家に遊びに来たように言ったわね」
?しかも、さっき大きな声出すなって言われたばかりでしょ。
?部屋のなかにはベッドが三つとそれぞれに洋服をしまう場所。それだけ。本当は、この部屋は四つベッドが置いてあったのだが、可憐がどうしてもと看護師さんに相談して三つにしてもらったのだ。
?この部屋を上から見たとすると、左上に私のお見舞いしに来た人、右上に可憐のお見舞いしに来た人、そして右下にもう一人入院している人がいる。
「さて、じゃあ、お顔拝見しますかね」
「そうだね……」
?私はお見舞い相手の寝ているベッドまで行き、眠っている顔を覗き込む。
「今日も来たよ――ユウ」
?静かに囁くように話しかける。しかし、向こうは変わらず眼を閉じたままだ。本当に眠っているように思える。
?彼の頭に視線を動かす。そこには、ナーヴギアが被さっていた。三つの小さなライトが緑色に点滅している。
?実際、ユウは眠っているわけではない。本当に寝ているだけならば、とっくに眼を開けて私に向かって「おはよう」などと言ってくるはずだ。
?ユウは――私の弟は、SAO事件の被害者だ。
?彼は今、ゲームのなかに意識を閉じ込められていて、そこから出られない状況にいる。ずっと寝たきりなのはそのせいだ。
?ユウがこうなってから、今月で四ヶ月になる。それだけの日数がたっているのに、事件はまるで解決に進んでいなかった。
?原因は、
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