第二章
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「それで慣れるから」
「痺れなくなるの」
「座っていたらそのうちにね」
「そうなの」
「ええ、それにね」
「それに?」
「お抹茶美味しいしお菓子も出るから」
綾は喜久子にこのことも話した。
「皆穏やかで優しいしいい部活よ」
「だからなの」
「入ってみる?」
「私美術部だけれどいいの?」
「掛け持ちでもいいわよ」
綾は喜久子にこのことは構わないと答えた。
「別にね」
「それじゃあ、けれど」
「けれど?」
「茶道も和服着るわよね」
喜久子は困った顔になって綾に尋ねた。
「そうよね」
「ええ、それはね」
当然だとだ、綾もすぐに答えた。
「茶道は日本の文化だから」
「そうよね、けれどね」
「ああ、喜久子ちゃん和服はね」
「着たことないけれど」
それでもというのだ。
「着るのが大変そうだし動きにくそうだし」
「まあそのことはその通りよ」
「しかもあれよね」
さらに言う喜久子だった。
「下はかないわよね」
「ショーツとか?」
「そうよね。冷えるわよね」
「最近はちゃんと和服用の下着もあるわよ。それにね」
「それに?」
「元々湯文字っていう日本の下着もあるから」
綾は喜久子に下着のことを細かく話した。
「和服用のね」
「そうなの」
「それに実は昔は女の人も褌だったのよ」
「それ本当?」
「結構穿いてる人多かったのよ」
女の人でも褌をというのだ。
「だから冷えないわよ」
「そうだったの」
「だから大丈夫よ。冷えないわよ」
「だといいけれど」
「ええ、安心してね」
冷えることについてもというのだ。
「そのことについてもね」
「わかったわ、それで茶道部は」
「どうしてもなのよ」
部員がというのだ。
「一人必要だけれど。勿論一人以上でもいいけれど」
「だから私になのね」
喜久子は綾にあらためて応えた。
「声をかけてくれたのね」
「それでどう?」
綾はその蒲鉾型の目で喜久子の垂れた澄んだ瞳を見つつ決断を問うた。
「入ってくれるの?」
「いいわ、和服はどうしてもだけれど」
「じゃあ一回着てみる?」
「一回?」
「ええ、喜久子ちゃん美人だし背が高くてスタイルもいいから」
綾も他の友人達と同じことをだ、喜久子に言った。
「似合うわよ」
「似合ってもなの」
「着るのが大変で動きにくいから」
「まあ普段着る服じゃないからそこは割り切って」
「そうしてなの」
「着てみたらどうかしら」
試しにというのだ、こうしてだった。
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