暁 〜小説投稿サイト〜
101番目の舶ィ語
第十八話。魔女の刻印《キスマーク》
[5/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
だろう。
だが、こっち(・・・)の俺にはこれは悪手だ。
今の行為は俺を増長させるだけだからね。
欲しい。

……キリカが……欲しい。
……女が欲しい。
……音央が……。
……音央も俺の女だ。
……返せ。返せ……。
奪え。奪い返せ。


『俺の女を、記憶を奪い返せ』

(これは______ヒステリアベルセ??)

この身体の中央・中心が焼け付くような感覚に俺は覚えがあった。
これは______ヒステリア・ベルセ。
______女を奪うヒステリアモード。

だが、どうしてだ?
何で俺はベルセになったんだ?
ベルセは他の男に女を奪われた時に発現するヒステリアモードのはずだ。
今、俺の周りに男はいない。
だからなれないはずなのに……。

「ごめんね……モンジ君」

何でだ、何で謝る??
一体何をしたんだ、キリカは……。

「少し頭の中を弄らせて貰ったよ。
大丈夫。寝ればすぐに解る(・・)から」

「おい、キリカ」

問い詰めようとした俺だが、身体を動かせなかった。
気づいた時にはすでに、キリカの髪とは別の甘い香りが辺りに漂っていて、俺の頭の中はぼーっとしてきて、何も考えられなくなっていたからだ。

「それにしても……君にこんな能力があったなんてね。
教えてくれた教授には感謝しないといけないね。ねえ、モンジ君」

瞼が重くなり……。

「……気をつけてね」

「……待て……」

眠りに落ちる瞬間、キリカの心配そうな声が聞こえて。
俺は意識を失った。














2010年?月?日。夢の中で。

不意に目を覚ました場所は、物静かな和室だった。
なんとなく、いい夢を見ていた気がする。
夢の最後はなんだか怖かったような気もするが……。
だけど、それがどんな夢だったのかははっきりとは思い出せない。
体を起こしてみると、妙に体が軽い。
頭はすっきりしている。
目覚めは良好のようだ。
改めて辺りを見回すと、ふと、障子の向こう側が気になった。
そう言えば、こないだ……ご飯を食べた後。
何かあったような……。
俺が何かを思いだそうとした、その時だった。

「あの……」

背後から控えめな声がかかってきたので振り向くと、そこにはいつもの少女がいた。
濡れたような黒い髪が艶やかに輝き、着物姿が似合っている。
ただいつもと一つ違うのは、そこに浮かんでいる顔が普段の優しく穏やかなものではなく、とても……寂しそうな表情をしている事だ。

「どうかしたのか?」

心配になって尋ねてみると、彼女は弱々しく首を横に振った。

「いえ……どうして、来てくれたのかなと思いまして」

おずおずと上目遣いで俺
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ