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101番目の舶ィ語
第十八話。魔女の刻印《キスマーク》
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々そのつもりだったが、キリカにお膳立てされてしまった。
キリカの事だから俺が躊躇う事を見過ごしていたんだろう。
だからここに連れてきたんだ。
______俺の背中を押すために。

「キリカはいいお嫁さんになりそうだなぁ」

「モンジ君が貰ってくれればいいのに」

「うっ……心臓に悪いから変な冗談は辞めてくれ」

キリカみたいな美少女が嫁とか……想像しただけでヒスりかねん。

「ほんっと、今の状態のモンジ君はすぐ揺れてくれるからちょろくていいよねっ」

ん? 今の(・・)
まさかと思うが……バレてる??
ヒステリアモードの事が??

「なっ、キリカ……お前……まさか??」

「さて、それじゃあ、魔術でチョチョイと眠らせてあげるね?」

「話題を逸らすな!」

話題を逸らすのは俺の専売特許だ!

「クスっ、モンジ君、私は……なあに?」

「何って……キリカはキリカだろ?」

「そ。だからだよ。
私はキリカ。キリカという名の『魔女喰いの魔女・ニトゥレスト』だよ。
『魔女』だから……君の事を色々知ってる(・・・・・・)んだよ?」

「……なんだかその説明だけで納得出来てしまう、自分が嫌になるな……」

魔女だから、俺の事もお見通しってわけか。
怖えな、魔女……。

「というわけだから、眠らせるね?」

「はぐらかされたが、いつか必ず理由を聞いてやるからな」

「うん、いつか……私をちゃんと(・・・・)口説けたらその時は話すよ」

「うん? ああ、約束だ!」

この時の俺はキリカの口なら何時でも割らせる事が出来るだろう、とそんな事を考えていた。
ずっと側にいる筈だから、もう俺の物語なんだから、と。
のちにあんな(・・・)事になるとは知らずに……。

俺は電話ボックスを見つめた。
次に寝たら、四度目の夢を見るだろう。
そして、二度と帰って来られなくなるかもしれない。
夢の中でちゃんと、キリカや音央の事を思い出せるかどうか……。
俺が完全に消える前にそれが出来るかどうかが問題だ。

「ふふ、それじゃあ……そうだね。こっち来て」

そんな風に不安に思う俺を、キリカは電話ボックスの前まで導いてくれた。

「ちょっ」

「いいからいいから」

ガチャ、とドアを開けて、電話ボックスの中に一緒に入った。
電話ボックスの扉や周りは透明なガラスに囲まれているから外から丸見えとはいえ、狭い屋内に美少女と二人っきり。
しかも、車の通りがほとんどない山道の電話ボックスの中でだ。
密着した姿勢でくっついたせいか、ドキドキしてしまったのは仕方ない事だ。
ドキドキして、し過ぎて血流の流れが速くなった。

「一度ある事は二度、三度ある……か」

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