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101番目の舶ィ語
第十七話。夢の少女の正体は……
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体の中から力が抜けていくようは感覚がして。頭痛と吐き気もしてきて……。

『もう遅いよ?』

そして、その時。
聞き覚えのある声が頭の中に響いた。
______この、特徴的な語尾上げの声は……!

『貴方は、この『富士蔵村』の料理を食べちゃったもんね?』

「この声、詞乃ちゃん……か??」

『だから、次に眠った時。貴方はもう元の世界に戻れないよ?
やっと、食べてくれたね。 ずっと待ってたんだよ?
貴方が『富士蔵村』の料理を食べるのを……。
リサさんが貴方に出した料理にはこの村の食材は使われてなかったから。
だから貴方が眠って、この村の料理を直接口にするのをずっと待ってたんだよ?
ようやく食べてくれたね? あはははっ!』

詞乃ちゃんの笑い声が頭の中でこだまして……。













俺は自分の部屋の布団の中で目を覚ました。

「……今の……は……」

夢の中の少女は音央と同じ顔で。
あの場所は『富士蔵村』で。
そして……。

「朱井詞乃……」

『神隠し』に名前を付けられたという『人喰い村(カーニヴァル)のロア』の声。
見間違いじゃなかったのか、と額に手を当てて現実逃避をしようとして、その手に『何か』を持っている事に気付いた。

「小型の……ラジオ?」

これは確か、『富士蔵村』で音央に持たせていたものだ。
それが今ここにある、という事は……。
これが『3度目』の『手土産』なのか?
予期せぬ出来事だったが、ようやく掴んだ。
この数日、まるで消息が掴めなくなっていた『六実音央』の手掛かりを、やっと。
手掛かりを掴めた俺は、不意に、音央が消えた日に見た顔と。さっき見た少女の顔が脳内で思い浮かんだ。
そして、重なり合った。

「……ったく、ホラーっぽく誘い込むんだったら。あんな寂しそうな顔すんなよ、音央」

音央が消えてからすでに1週間経っていた。
その音央が夢に現れた。
……出るならもっと早く出てこいよ。
そう、悪態を吐きながらも、『境山』の方を向いて俺は言った。

「いいぜ。『主人公』が助けてやる。無理矢理、その顔を笑顔にしてやるよ!」

そう口に出して、『4度目』に挑む為の気合を入れたのだった。


2010年6月10日。午前5時。一文字家前。

すっかり目が覚めてしまった俺は、頭をスッキリさせようと、早朝ランニングしようと思い立って家を出る事にした。
そして、ジャージに着替えてから家を出た瞬間、ビックリするようなイベントが起きていた。
なんと。

「おはよう!」

キリカが満面の笑みを浮かべて家の目の前で待っていたんだ。
朝から美少女が迎えに来てくれる。
美少女とのドキドキ登下校がした
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