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乱世の確率事象改変
其処で繋いだ友達のカタチ
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しい。華琳の為に捧げた、彼女が華琳の為に何かを賭けた証明。
 だから春蘭だけは、黒麒麟の想いの大きさもあり方も少し理解出来る。

「コレは私が華琳様の為に戦った証だが……あいつについている傷は徐晃隊があいつの為に強くなろうとした証、そして戦ったモノが生きたいと願った証。例え自分じゃないとしても、あいつが黒麒麟になろうというのなら隠してはならん」
「……ホンマにあんた悪いもんでも食ったんちゃう?」
「……理知的な姉者もいいな」
「ば、ばかにするな! 私だってちゃんと考えてるんだぞ!?」

 真剣な話をしてみればすぐに霞に茶化される。それが日常の光景。春蘭は本気で怒るが、からからと笑う霞にはのれんに腕押しだ。

「にしし、そんな怒らんといてーな。
 ま、春蘭の言うことも尤もや。秋斗の身体に刻まれとるもんはバカ共の夢の跡、凪が誰かを守る為に強ぅなったもんと同じやわ」

 話を変えられれば、春蘭は霞を睨むだけでそれ以上は言わない。

「心の深い部分で乙女な凪は悩んでいるがな」
「むぅ、誇ればいいモノを。そうそう出来るものでは無いぞ?」
「そういうんは沙和とか真桜とかが言っとるやろけど……ウチらのせいで余計悩むんちゃうかな」

 一人の武官を思い浮かべて、三人は三様にため息を零した。

「力の証明、か」
「姉者や私、霞や秋斗や明。華琳様に任命された五大将軍との間には隔絶された壁があるのだ。今回のことで一番落ち込むのは凪だろう」
「こればっかりはウチらが言うわけにもいかへん。凪は自分で乗り越えるしかしゃぁない」

 武力で見れば確かに劣る。しかし将としては越えられる部分もあるはずなのだ。
 五人はそれぞれ色を持っている。主への信仰であったり、他者を繋ぐ役割であったり、戦への渇望であったり、平穏への狂信であったり、生と死への狂気であったりと。
 政治的な理由もあるが、ただそれだけでは華琳は選ばない。

 華琳は将の力というモノを正しく理解している。戦うのは将個人では無く、兵士を含む部隊の全てだ。
 軍師の策で有利になるのも分かるが、戦でモノをいうのは将と兵との絆の深さと強さ、そして色。
 飛将軍のような暴力で無い限り、個人だけの力で戦況を引っ繰り返せるなど夢のまた夢。

「ウチはバカ共がおらな神速にはなれん。春蘭も秋蘭もバカ共がおらな大剣と蒼弓にはなれん。秋斗は言わずもがな、明かてバカ共がおらな紅揚羽なんて呼ばれてへん」

 長い長い時間を共に過ごして鍛え上げる。そうして兵士達の力を部隊として確立するから、彼女達の名は意味を持つ。
 そも、兵士をただ一緒に戦っている人のような認識でいることこそ間違いなのだ。彼らは優先して守るべき対象ではなく、共に肩を並べて戦う戦友なのだから。結果として多くを残すのはい
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