其処で繋いだ友達のカタチ
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んでー」
ああ、そんな問題もあったな、そういえば。
黒麒麟が四日に一度あの子達と寝台を共にしていたから、記憶の回復の可能性を考えて一度くらいはやってみるしかないのだ。
そんなことで戻れるなら嬉しいんだが……眠れない夜になるかもしれない。主に自分を律する為に。
「りょーかい。そんじゃま、お先に失礼。ごゆっくり」
手拭いを前に、大きなため息をついて立ち上がった。
「ではな、徐晃」
「また明日ー」
「……お前なんか明日来なくていいんだからな!」
春蘭からの怒声を聞きながら、いつものようにひらひらと手を振った。
こいつらと居るのは楽しい。嫌な気持ちも逸る思考も落ち着かせられる。
男女の友情は成立しないっていうけど、なんだかんだで呆れて笑ってくれるあいつらも友達って感じてくれてたら嬉しいな。
俺が繋いだ絆は確かに在るらしい。
深いのか浅いのかはよく分からないけれど、お前らと一緒に戦える俺は幸せもんなんだろう。
最初からこの軍に居たとしたら、こんな時間が繰り返されたに違いない。
――だけど、俺を想ってくれてるこいつらとの時間は、今此処にあるのが全てだ。大切にしよう、この時を。
胸の中が暖かかった。彼女達と一緒に過ごせる幸せを噛みしめて、俺は平穏な日常を享受する。
ただ一つだけ、変わらない願いがある。
――もし俺が、黒麒麟に戻ってイカレてたなら……例えあの子を泣かせるとしても、お前らが俺を殺してくれな。
消えてやる気などさらさらない。しかし最悪の可能性を考えるのは自分としては当たり前で。
あいつらにそれが出来ると信じられる事こそ、俺にとっては何よりの安息だった。
†
秋斗が去った後の風呂で三人の美女がそれぞれにため息を吐いていた。
ある者は呆れ、ある者は充足、ある者は苛立ちから。
「雛里らと一緒に寝ても手ぇ出さへんかったってマジもんなんやろけど……相変わらず変なやっちゃ」
「ふふ、ああまで拒絶されるとさすがに普通の女なら苛立ちが湧くやもしれん」
「……まあ、他の下らん男共よりはマシだ」
「せやなぁ、がっつく奴等とか興味ありませんってふりする奴等とかエラそうに諭して来るおっさんとかよりは全然ええわ」
くくっと喉を鳴らした霞は、脚を広げて大きく息を吐いた。
「でも傷とか隠さんようになったし、なんや心境の変化とかあったんちゃう?」
「黒麒麟と自分の割りきりを付けたといった所ではないか?」
「ふん、隠すことが間違いだ。あいつについている傷は男達の夢の跡、人の想いの証明なのだからな」
そう言って、春蘭は自分の左目の眼帯を一つ撫でる。
彼女についた大きな傷は、その想いの証明に等
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