其処で繋いだ友達のカタチ
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い、だが兵を守ろうと意識を置いた時点で将という枠組みからは外れる。それは兵士の想いを侮辱する行いで、率いるモノがイカレてない限り兵士達は強い心を持てない。
愛おしいモノを語るように、霞は声を弾ませた。
「ウチはな、あいつらの為にもウチの為にも、誰にも負けとうない。個人としては恋、飛将軍にだってそのうち勝つつもりやけど、部隊としては……大陸で最強って言われやな気がすまへん。
知っとる? 今の大陸で一番強い部隊は何かってそこいらの人に聞いたら、たいてい徐晃隊って答えが返ってくんねん。許せへんよなぁ」
力は認めているし強いのは分かっている。だが許せない。
彼女と共に戦うことに想いを馳せている男達を見てきたから、霞は悔しさと愛おしさに心を染める。
霞の言いたいことを読み取った秋蘭と春蘭が目を細めた。滲み出る空気は鋭く、熱い。
「五将軍の筆頭は春蘭や。それはええねん。ウチは頭って柄ちゃうし。
でも最強の将で、最強の部隊ってのは譲らんで。どれだけ続くか分からへん乱世やけど、最後には必ずウチら神速が最強やって語り継がせてみせるさかい、覚悟しとき」
宣言するのは乱世での生き様。自分と彼らが、この世界で一番強いと存在証明を見せ付けること。
魏武の大剣、魏武の蒼弓、黒麒麟、紅揚羽と戦うことはもはや無い。戦いたいとは思ってももう戦えない。だからせめて、彼女達よりも上だと認めさせることこそが、霞の渇望を満たす唯一の方法。
戦バカだと誰かが評した。他の幸せは確かにいいものだが、霞はこの在り方を認めてくれるこの軍が居心地良くて……楽しい。
――ウチに負けるかと競い合ってくれるあんたらの側が、めっちゃ幸せや。
睨みつけ、不敵に笑う二人の麗人が居た。
「ふ……バカを言え。私もさらさら負けるつもりは無いぞ。これから立てる戦功の量で無理やり抑え付けてやろう。もちろん、姉者もな」
「あまり調子に乗るなよ二人共。私は華琳様に一番と認められているから筆頭なのだ。それ即ち私が最強だということで、何処まで行っても変わらん」
剣呑な空気……ではあってもそれは心地いいひりついた感覚で。
仲間であれど好敵手。互いに互いが競い合う、華琳の目指した軍のカタチがこの三人には出来上がっていた。
「くくっ、やっぱ楽しいなぁ」
「ああ、我らはこれでいいさ。明については、嫌な奴だが人間の想いを大事にする輩だ。自分を手に入れたあいつは……」
「うむ、変わり始めた明もきっと乗ってくるし楽しんで参加するだろう。ただあいつも楽しめればいいのだが……無理だろうな」
一人だけ、彼女達と共に楽しめないモノがいる。
ため息を落とした。この熱は武人と将にしか分からない。あの男が満たされる事柄は、そういったモノでは無いのだ。
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