2部分:第二章
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第二章
「その子、どうあっても!」
「コヨルショウキ、それは」
上からだった。その母神の声がしてきた。
「詳しい話はするけれど」
「なりません!」
言い訳にしかきこえなかった、彼女にはだ。
「その子、決して産ませはしません」
「けれどもう」
「もう!?」
「産まれてしまったの」
申し訳なさそうな声も出すのだった。
「その子は」
「ならばです」
「ならば?」
「殺すまで」
コヨルショウキのその声がだ。さらに鋭いものになったのだった。
「その子をです」
「この子は」
「何だというのですか!」
山を駆け上がりながらだ。そのうえでの言葉である。その後ろには弟神、妹神達が続いている。まさに嵐の如き進みであった。
「父のわからぬ不義の子なぞ決して!」
「許さないというのか」
しかしここでだ。他の声がしてきたのだった。
「それは決して」
「?この声は」
「いいだろう」
若い男の声だった。それが山の頂上から聞こえてきたのである。
「ならば来るのだ」
「山の頂上にか」
「そうだ、来るのだ」
コヨルショウキを挑発するようにだ。こう言ってきたのである。
「いいな、来るのだ」
「言われずとも」
コヨルショウキとしてもだ。その言葉で止まることはなかった。
「そのつもりだ。行くぞ」
「来るがいい」
声はまだ彼女を誘っていた。そうしてだった。
コヨルショウキは遂に頂上まで来た。そこにいたのはだ。
全身が眩く輝く青年がいた。虹色の服を着てその頭にはコンドルの羽根がある。その青年がコヨルショウキに対して言ってきた。
「私を認めないのか」
「そうだ、認めはしない」
精悍な顔のその青年を見ての言葉だった。誰なのかはすぐにわかった。
「母上の子とはいえ。不義の子なぞは」
「そうか、認めないか」
「決してだ」
それを言うのだった。
「何があろうとも。貴様を殺す」
「殺すか」
「覚悟するがいい」
右手に持つその剣を突き出してだ。告げたのであった。
「今ここでだ。斬る」
「いいだろう。それならばだ」
青年神は彼女のその言葉を受けた。そうしてであった。
右手から何かを出してきた。左手にもだ。
右手には火の玉を出し左手には剣だ。赤く輝く剣だった。
それ等を両手に出してだ。あらためてコヨルショウキに告げる。
「来るがいい」
「来いというのか」
「そうだ、相手になろう」
「大人しく倒されていればいいものを」
コヨルショウキは生まれたばかりの相手にやられる筈がないと思っていた。それは確信だった。この辺りでは歳を重ねれば重ねる程力を増すと思われているからだ。
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