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処女神の恋
7部分:第七章
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のところじゃ・・・・・・ないわよね」
 うっすらと嫉妬を感じたがそれには気付かない。
「そこでもないようです」
「じゃあ何処なのよ」
 アルテミスは困った顔でそれに尋ねた。
「オリオーンは何処なの?」
 夜が終わり朝になろうとしている。アルテミスはその中で問うた。
「何処にも見当たりません」
 それが返事であった。
「何処におられるのかさえ」
「そんな筈ないわ」
 女神はむくれた声で述べた。
「オリオーンが私の側を離れるなんて」
「それはそうですが」
「あっ」
 だが彼女はここでふと気付いた。
「まだ海辺にいるのかも」
「海辺ですか?」
「そうよ。だって彼海の中でも平気だから」
 そして言った。
「それでその中で寝ているのかも。そうよ、きっとそうよ」
 半ば自分に言い聞かせていた。
「まだあの海辺にいるのよ。きっとそうよ」
「ではそちらに?」
「ええ、行くわよ」
 従者達にそう声をかける。
「それでいいわね」
「はい」
「それでしたら」
「オリオーンもオリオーンよ」
 アルテミスは苦笑して呟いた。
「意地悪なんかして。悪い人」
 その言葉は完全に恋する女のものであった。
「意地悪の仕返しは怖いわよ」
 彼女もやり返すつもりであった。
「そう簡単には許してあげないから。見てらっしゃい」
「それではアルテミス様」
「ええ」
 既に弓矢を受けていつもの狩の格好になっている。凛とした美貌が銀により際立っていた。
「行くわよ、いいわね」
「はい」
 女神は従者達と共に昨日の海辺に向かった。だがそこに彼はいなかった。
 いや、いた。だが声はなかった。彼は一言も語ることなく海辺に横たわっていたのであった。
「オリオーン!」
 アルテミスの呼び掛けは悲鳴であった。
「オリオーン!」
 また彼の名を呼ぶ。だが返事はない。
「まさか、まさか・・・・・・」
 認めたくはなかった。だが認めるしかなかった。
「オリオーン、どうして」
 彼は一言も語らず横たわっている。目を閉じ、まるで眠っているような顔である。
 その胸に矢が刺さっていた。銀の矢である。それの持ち主は一人しかいない。
「まさか、あの時の輝きは」
 アルテミスはそれを見て悟った。アポロンはわかっていて彼女に弓を撃たせたのだ。そしてオリオーンを殺させた。今全てがわかったのであった。
「アルテミス様」
 従者達が暗い顔で彼女に声をかける。
「オリオーン様はもう」
「わかっているわ」
 自分の矢を受けて助かる者なぞいない。狩猟の女神の矢は絶対なのだ。それはその女神である彼女自身が一番わかっていることであった。
「けど、どうして」
 アルテミスは俯いて目を閉じた。そしてその目から銀の涙を流す。
「どうして、ど
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