暁 〜小説投稿サイト〜
ロンジー 
第一章
[1/2]

[1] 最後 [2]次話
                       ロンジー
 ミャンマーの首都ヤンゴン郊外の町の商店街を歩きつつだ、グン=サン=スー=チーはうんざりしてだ、友人のミル=ハス=シー=トーにこんなことを言った。二人共黒のロングヘアで日に焼けた顔をしている。スー=チーの目ははっきりしていて大きくシー=トーの目は切れ長で睫毛が長い。二人共背は一六〇位ですらりとしている。胸はシー=トーの方が幾分大きいだろうか。着ている服は通っている高校の制服である。
「暑いわね、今日は」
「特にっていうのね」
「ええ、ミャンマーの夏は暑いけれど」
「確かに今日は暑いわね」
「半袖でもね」
 それでもだというのだ。
「全然涼しくないわね」
「日差しは強くて」
 それにというのだ。
「湿気は多くて」
「毎日夕方になるとスコールが降って」
「そのせいでね」
 湿気も凄いというのだ。
「もう滅茶苦茶暑いわね、今日は」
「本当にね、しかしね」
「しかし?」
「この暑さを昔皆は平気だったのかしら」
「そうなんじゃないの?」
 シー=トーはこうスー=チーに答えた。
「やっぱり」
「昔は今より暑かったのよね」
「いや、暑さは一緒でしょ」 
 こう返したシー=トーだった。
「昔も今も」
「そうなの」
「ミャンマーは昔も今も暑いわよ」
 このことには定評がある国だ、そしてそのことは二人もわかっている。だから本来は言うまでもないことであるがだ。
 それでもだ、二人は言わずにはいられなかった。
「この暑さもね」
「昔から一緒で」
「それでもよね」
「皆この夏も生きていたのね」
「どうやっていたのかしら」
「それが不思議っていうのね」
 シー=トーはスー=チーに返した。
「あんたは」
「不思議も不思議よ」 
 スー=チーはタオルで汗を拭きつつ答えた。
「こんな暑い中で平気だったのかしら」
「半袖で生地が薄い服で」
「ズボンでラフな靴」
「精一杯涼しくしてるわよね」
「けれどそれでも暑いのよ」
 また暑いと言うスー=チーだった。尚二人の名前はそれぞれ名字がない。ミャンマー人、ビルマ族の名前の特徴で名前だけなのだ。
「私は」
「今日は特に」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「何か解決案ないかしら」
「ないんじゃないの?」
 シー=トーはあっさりとだ、スー=チーに答えた。
「扇風機お家にあるでしょ」
「クーラーはないけれどね」
 ない理由は簡単だ、ないからだ。
「扇風機はあるわ」
「じゃあお家に帰ったら扇風機にあたることね」
「それで涼めっていうのね」
「氷でも食べて」
 それもというのだ。
「涼しくなることね」
「結局そういうことしかないのね」
「というか他にないでしょ」
 かなり
[1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ