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処女神の恋
4部分:第四章
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あるのかちゃんとわかっていたのである。
「名誉な仕事をな」
「有り難うございます」
 オリオーンは片膝を着いてそれに応える。
「そしてそれが終わればメロペーとの婚姻だ」
「はい」
「狩猟の女神の側にまで仕えた英雄を婿に迎えられるとは。わしも鼻が高い」
 彼はそこまで名誉ある英雄を自分の娘の夫にすることを楽しみにしていたのだ。
「わしもメロペーも待っている。頑張って来てくれよ」
「わかりました」
 彼は王とメロペーに見送られアルテミスの側に向かった。彼女はこの時自身の神殿にいた。
「アルテミス様」
 従者達が彼女に声をかける。彼女はこの時夜の帳の青い神殿の中で白い光をその手の中にふわふわと遊ばせていた。その白い光は星の瞬きであり、彼女自身は月であった。髪の飾りの銀が眩く輝いていた。
「オリオーン様が来られました」
「そう、ここに来たのね」
「御会いになられますか?」
「勿論よ」
 彼女は少女らしい晴れやかな微笑みとあどけない声でそう答えた。
「自分から来てくれるなんてまた律儀ね」
「はあ」
「今日にでも自分から行こうと思っていたけれど」
「アルテミス様御自身でですか?」
「私は狩猟の女神なのよ」
 彼女は従者達にこう述べた。星は手から離しており、彼女の周りに瞬いていた。
「待つのは性分に合わないの」
「左様ですか」
「獲物でも何でもね」
 不敵に笑う。だが彼女は狩猟のことは知っていても他のことには疎い部分があった。そう、少女があまり知らないことに関してである。これには彼女はまだ気付いてはいなかった。
「それなのに向こうから来てくれるなんて。嬉しいわ」
「それではこちらに御通しして宜しいですね」
「ええ、御願いね。そして」
「そして?」
「弓矢を。用意して」
 アルテミスはにこりと笑ってこう言った。
「弓矢を」
「そう、弓矢を。すぐに狩に出るわよ」
「もうですか」
「腕試しでもあるわ」
 あくまででもある、である。第一の理由は狩がしたいのだ。少女らしい気ままさであった。
「わかったわね。すぐに用意して」
「畏まりました」
 こうしてオリオーンとの面会と狩への用意がはじめられた。程無く従者の一人に連れらて金髪の背の高い青年がアルテミスの下に連れられてきた。
「えっ・・・・・・」
 アルテミスはその青年の姿を見て思わず声をあげた。
「あれが・・・・・・オリオーンなの?」
「御存知ありませんでしたか?」
 側に控える従者が主にそう声をかけてきた。
「いえ、話には聞いていたけれど」
 彼の容姿のことも。だがそれ以上のものが実際のオリオーンにはあったのである。
「凄い・・・・・・美男子ね」
「左様ですね」
 従者はアルテミスの顔には気付かなかった。彼女が紅潮しているという
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