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処女神の恋
2部分:第二章
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ーンは従兄弟になるのだ。
「君も怪物を倒しに来たようだな」
「はい」
「訳を知りたいが。どうやら単に怪物退治というわけではないようだな」
「ええ、実は」
 彼はここで怪物退治に出向いた理由をアポローンに話した。アポローンはそれを聞くと納得したように頷いた。
「成程、そういう事情があったのか」
「そうなのです」
「そのメロペーという女性を手に入れる為か」
「それでは駄目でしょうか」
「いや、別にいいのではないか」
 アポローンは別にそれを咎める気はなかった。
「人は誰もが欲というものを持っているしな」
 神であっても。ギリシアにおいては人間も神もあまり変わらない性格を持っているのだ。ゼウスに至っては好色であると同時に同性愛も嗜んでいる。またアポローンもそれは同じだ。ギリシアにおいて男同士の愛は女同士の愛と同じく自然な行為であったのだ。
「それは別に構わない。だが」
「だが!?」
「それは怪物を倒してからだ。いいな」
 ここで二人は賭けをすることになった。
「私が怪物を倒せば私がそのメロペーの下に行く」
 アポロンも話を聞いているうちにメロペーに興味が出て来たのだ。半ば強制的にそれを認めさせた。やはり神の権限がものを言ったのだ。
「君が怪物を倒せば君がメロペーの下に行く。それでいいな」
「はい」
 急に持ち込まれた話であったがオリオーンはそれを納得した。彼も英雄とまで謳われた男である。負けるとは夢にも思っていなかったのだ。
 こうしてどちらが怪物を倒すか勝負がはじまった。二人はそれぞれ散った。
 オリオーンは木の上を伝いながら怪物を探す。探しながらどんな怪物かと考えていた。
「獅子の怪物か?それとも竜か」
 どちらでも彼は倒す自信があった。
「いずれにしろ怪物を倒してメロペーは私が」
 そう考えていた。その為にも怪物を何としても倒さなくてはならなかった。
 暫く木の上を伝っていると気配を感じた。木の下である。
「!?」
 大きな影が一瞬現われた。オリオーンはそれを見て目を凝らした。
「そういえば」
 王宮で言われた言葉を思い出した。その怪物は異様に素早いと。
 それだと感じた。何を思ったか下に飛び下りた。
「来い!」
 そしてその怪物に対して叫ぶ。
「私はここだ!」
 あえて自分自身を囮にした。それで怪物をこちらに引き寄せたのだ。
 すぐに影がオリオーンに向かって来た。弓をつがえる。
「よし!」
 影が跳んだその瞬間に弓を放つ。放ったらすぐに身を屈めた。
 影とオリオーンが擦れ違ったように見えた。後ろで何かが倒れる音がした。
「やった・・・・・・か?」
 立ち上がり後ろを振り返る。するとそこには一匹の巨大な黒い蠍が転がっていた。
「これが魔物の正体か」
 見ればどうという
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