二話:料理とジュエルシード
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「アルフ……あれ、熊だよね?」
「ああ……熊だね」
フェイトとアルフは森の中に居た。目星をつけたジュエルシードの回収に来た二人だったのだが、今現在二人はただただ首を傾けて何かを見上げていた。その何かとは熊である。普通の人間であれば熊と遭遇したらパニックを引き起こしてしまうだろうがあいにく彼女達は普通の人間ではないし、熊と戦闘になっても余裕を持って勝てる存在である。だが、そんな彼女達も今現在は呆気にとられて動くことが出来ない。別に恐怖というわけではないが、目の前の存在が余りにも普通とかけ離れているからである。
「……大きい」
「デカい……」
そう、とにかく熊が大きいのである。体長十メートルはあろうかという巨大な体に、一歩踏み出せば地響きが響くであろう巨木のように太い足。その姿に二人は呆気にとられていたのである。ここ地球における最大の熊はホッキョクグマで体長は三メートル程で、体重がおよそ一トンという事を考えるとその異常さが分かるだろう。
最も、詳しく知らなくともその姿を見て大半の人間が異常だと思うだろう。そして、フェイトがよくよく目を凝らして見てみると首元に光り輝くひし形の宝石が目に止まった。そう、それこそが彼女達が探し求めていた存在―――ジュエルシードである。
「アルフ!」
「ああ、さっさとやっちまうよ!」
「……出来るだけ傷つけないようにね」
「わかってるよ」
フェイトの呼びかけに反応したアルフが好戦的な笑みを浮かべて、構えを作る。そんな様子にフェイトは自身のデバイス、バルディッシュを握りしめながら熊を傷つけ過ぎないように忠告する。そんなフェイトの甘いとも取れる優しさにアルフは、今度は優しげな笑みを返す。その様子に熊の方も敵意をむき出しにし、地の底から響いてくるような唸り声を上げる。そして、今まさに戦闘が始まろうとした時―――突如として一人の男が二人と一匹の間に現れた。
「余り危ないことはしないようにと言ったのだが……まあ、仕方がない」
「「ヴィクトル(さん)!?」」
二人の前に現れたのはヴィクトルだったのだ。突然の登場と、嘘をついていたことがばれてしまった事に焦るフェイトだったが、ふと自分達がしっかりと結界を張っていたことを思い出して、どうやってこの結界の中に入って来られたのかと思う。すると、そんな疑問を感じ取ったのか、ヴィクトルが振り向くこともなく答える。
「夜中にこそこそと家から出て行ったときにも追いかけていたのだが、その時は妙な物のせいで見失ってしまってね。今度は最初から君達の傍にいたのだよ」
その言葉に驚きが隠せないフェイトとアルフ。夜中に家を出る時はしっかりとヴィクトルが熟睡しているのを
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