おまけのおまけ『エピローグ』
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グミに構っててあんまりお前にかまってやれなかったから」
「ぼ、ぼくがそんなことでよろこぶっておもってる?」
ここにきて初めて子供っぽい口調になって息子。それこそが本音なのだろうと悟った父親は嬉しそうに、そしてどこか意地悪に「いや、俺がそうしたいんだ」と先ほどまでよりも少し強めに抱きしめる。
そんな時間がどれほどたっただろうか。
数秒か、数分か、それとももっと長かったのか、短かったのか。
とにかく、父親がカイトから離れた瞬間にまた家の扉が開いて、かと思えばツグミと母親が姿を現した。
父親と母親は頷きあい、大した荷物もなしに歩き出す。
もちろん二人の側にはツグミとカイトがいる。
同じ村の人々に「気を付けてな!」
「またしっかり帰ってくるんだよ!」
などの声をかけられつつも、四人はゆっくりと歩を進める。
やがて、村の駐在や煙草をふかした女性、腕に入れ墨がある女性が現れてそれぞれと言葉を交わし、カイトとツグミを彼らに引き渡す。
「また帰ってくるからな、いい子にしてろよ?」
「別にいい子にしてなくてもいいけど、ベルメールさんたちのいうことはしっかりと聞きなさい? 二人をよろしくね?」
さらに2,3の言葉を交わした彼らは遂に息子と娘から離れていく。
徐々に遠くなっていく父親と母親の背中を、ツグミとカイトは何も言わずに、二人へとひたすらに手を振ることで力いっぱいに見送る。父親と母親も姿が見えなくなるまで手を振って別れを惜しむ。
「……」
「……」
今度こそ二人きりになった父親と母親が空を見上げながらも、沈黙のままに足を進めていく。
やがて、海岸に出た二人の目の前には、海からやってきた海賊船が堂々とそこにその姿を泊めていた。
「おーい、やっと来たかーハント! ナミ! もう待ちくたびれたぞー! そんで腹減った!」
「ってさっき飯くったばっかじゃねぇか!」
「んナーミさーーーーん! 俺がいなくて寂しかったー!?」
「子供がいる女にも目がねぇとは……てめぇのぐるぐる眉毛に酔って死にやがれ」
「んだとクソマリモっ!」
相も変わらず騒がしい船上の面々に、二人は顔を見合わせて楽しそうに笑う。
「いこっか、ハント」
「ああ、ナミ!」
船の上で、コノミ諸島を目に焼き付けながら、船尾で寄り添っているハントとナミ。
「ベルメールさん、ノジコ、ゲンさん、村のみんな……それに、ツグミ、カイト。俺は……いや、俺たちはまた帰ってくる」
「うん」
「だって俺は、俺たちは家族なんだから」
「そうね……ねぇ、ハント?」
「……ん?」
「昔の約束……覚えてる?」
いきなりの言葉に、ハントは驚いたように動きを止めて、それから自信に溢れた表情で
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