おまけ最終話『SUKIYAKI』
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海。
青々しい匂いとともに視界を彩るそれが世界を包んでいる。
この広大な海に憧れて、その海へと旅立った男はそれこそ星の数。
富を、名声を求めて。
それはきっと確かに困難な道だが、その困難の果てにこそ確かに存在している。
「……うし、腹ごしらえも済んだし、今日もやるぞ」
「ああ」
海のど真ん中に浮かぶ島から波に乗って聞こえる二人の男の声。
特段不思議なこともないことだが、よく考えればおかしなことに気づく。
その島には何もない、自然すらない。人はおろか動物も暮らしをしているような形跡すらない。ただひたすらにだだっ広い陸地が広がっているという。
本当に何もない島。
そこに二人の男が立っているのだ。足元を見れば、どこから調達してきたのか鳥の骨や魚の骨、野菜のくずが落ちており、生活しているかのような痕跡すら見える。いや、離れたところにはテントまでもがあるところを見れば間違いなく二人はここで生活を過ごしているのだろう。
見る人が見れば違和感しか覚えないそんな光景だが、もちろんそんな違和感を覚えるような人物すらこの島にはいない。
「昨日はどっかの海賊に邪魔されたからなー」
「まぁ、そのおかげで他の島への買い出しに行かずに済んだんだし、それはそれでラッキーだったろ」
「はは、確かに」
雑談を交えつつ、二人が徐々に距離をとる。
甚兵衛の服に身を包み、右腕に包帯を巻いた男が屈伸運動を始める傍ら、上半身裸の男で黒い半ズボンは距離をとってから軽く準備運動を始める。
「今のところ通算成績は42勝45敗10分け……だったっか、ハント?」
「そうそう、俺の方がエース、お前よりも3回多く勝ってる」
「最初お前に10連敗ぐらいした時のことを想えば随分と縮んでるけどな」
「うるさいっての! 今日こそ完膚なきまでにお前にかつ!」
「こっちのセリフだ!」
白い炎を纏い始めたエースと、魚真空手の構えをとったハント。
二人がぶつかり合う。
「おおおぉぉ! 魚真――」
「だああぁぁ! 白炎――」
空気を震わせ、海を揺らし、大地を震わせ。
二人が求める道にはきっとまだまだ困難が続く。
それでも、二人はその道を突き進む。
「……エース、ハント! モンキー・D・ルフィ率いる麦わら一味がシャボンディ諸島に現れたよぃ!」
不死鳥のごとき炎の鳥が、二人のもとへと新たなる始まりを知らせるのは今、まさにこの時。
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