おまけ最終話『SUKIYAKI』
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たことだろう。
だが、ハントとエースの間にそのような発言は落ちない。
「……」
「……」
二人して、同時に沈黙……したかと思えば今度もまた二人同時に「なぁ」と言葉を漏らした。
二人の視線が強く交差する。
「……」
目で会話をしているのかもしれない。そう思えるほどに、長い時間の沈黙が二人を包み、その間二人はただひたすらにお互いの視線をぶつけている。
「……」
長い沈黙を経て、視線を外した二人は軽い笑顔を浮かべて口を開く。
「俺たちは強くなる必要がある」
エースの言葉に、ハントは力強く頷き返す。
「大将なんか目じゃないくらいに強く」
「もう誰も失わないくらいに強く」
エースとハントが同時に頷き、そして言う。
「強くなるぞ、二人で」
二人の声は小さい。
だが、その声はありとあらゆる言葉よりも力強い。
二人の歩みはまだまだ止まらない。
上を向き、世界の海を泳いで渡っていく二人はきっとまだまだ成長していく。
きっとそれこそが、白ひげが見た新時代の力。
「とりあえず俺はマルコやジョズに少し船を離れることを話してくる……おめぇはとりあえずまだ寝てろよ」
「ああ」
船室から出て行くエースの背中を見送って、ふと息をつく。
結局、白ひげさんを守り通すことができなかったあの戦場を思い起こす。
ただひたすらに目の前の敵を倒すことばかりを考えてたせいか、ほとんど思い出せない。
俺はいったい、あの戦場で何かを成し遂げることができたんだろうか。
そう思って、自分の今の、ろくに体を動かすことさえもままならないありさまを思い出す。
「……」
特に随分と包帯を巻かれてしまっている自分の右腕の感覚がない。
きっと、この右腕がその答え。
「……はぁ」
自然と漏れてしまったため息を、首を振って慌てて否定する。
もうネガティブなることは終わりだ。
俺が見るのはもう、ひたすらに前。
俺が思うのはもう、ひたすらに一つ――
――もっと強く。
誰かのそばにいたいとか、誰かのためにとか、そういう他人があってこその想いじゃない。
誰よりも俺のために。
俺が俺であるために。
俺はもっと強くなりたい。いや、強くならないといけない。
ルフィの仲間として、ナミの恋人として、師匠の弟子として。
「……もう少しだけ時間をくれ、みんな」
誰にも負けないぐらい最強になるから。
「……」
目を閉じる。
意識が遠くなる。
強くなろう、そう思って眠気に身をゆだねた。
そして。
時が流れて――
――
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